
米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」が開始されたことを受け、米ワシントン政界ではドナルド・トランプ大統領の弾劾を求める声が再び上がっている。しかし、民主党指導部は直ちに弾劾に踏み切るよりも、戦争責任の追及や2026年11月の中間選挙を見据えた政治的判断を優先しているとの見方が強い。
「明白な違憲戦争」との批判 ホワイトハウスは実績を強調
現地時間3月2日、米誌「ニューズウィーク」などの報道によると、議会の事前承認なしに踏み切った今回の空爆を巡り、政界の一部で弾劾を求める主張が出始めた。進歩派シンクタンクのマット・ストーラー責任研究員は「大統領による独断の開戦は違憲であり重大な犯罪だ。弾劾されるべきだ」と主張。米国自由人権協会(ACLU)のクリストファー・アンダース弁護士も「憲法は宣戦権が議会にあることを明確に規定しており、大統領の権限侵害である」と批判を展開した。
これに対し、ホワイトハウスの報道官は声明で「イランの核武装を阻止し、米国民に対する安全保障上の脅威を排除するための断固たる措置だ」と反論。「47年間、どの大統領も成し遂げられなかった決断をトランプ大統領は実行した」と、その成果を強調している。
核心は「戦争権限」の解釈 繰り返される憲法論争
今回の論争の核心は、1973年に制定された「戦争権限法(War Powers Resolution)」の解釈にある。同法は大統領が議会承認なしに軍事行動を取れるケースを厳格に限定しているが、歴代の大統領はこれを自身の指揮権を制約するものとして限定的にしか受け入れてこなかった。
4日には、上院において民主党主導の敵対行為停止決議案が採決にかけられたが、反対53、賛成47の党派制に基づいた結果で否決された。連邦検事出身の憲法コラムニスト、アンクッシュ・カルドーリ氏は「議会承認なき戦争拡大は、将来的な弾劾議論の法的な足場になり得る」と指摘している。
弾劾の現実味は低く、焦点は「中間選挙」へ
現実的な政治判断として、現時点での弾劾成立の可能性は極めて低いとされる。弾劾には下院での過半数、上院での3分の2以上の賛成が必要だが、現在は上下両院とも共和党が多数派を占めているためだ。予測市場「カルシ(Kalshi)」によれば、年内にトランプ氏が弾劾される確率は約11%にとどまっている。
民主党内では、弾劾という「諸刃の剣」を振るうよりも、中間選挙に向けて「議会を無視した暴走」というフレーミングで支持を広げる戦略が有力視されている。下院司法委員会のジェイミー・ラスキン議員(民主党筆頭)は「弾劾は共和国の危機を解決する最も効果的な方法であれば検討される」と述べるにとどめ、慎重な姿勢を崩していない。
中東で始まった軍事衝突は、今やワシントンの権力構造と憲法秩序を揺さぶる内政上の大きな戦線へと発展している。













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