
先月28日、米国とイスラエルによる対イラン空爆から始まった戦火は、中東地域の市民生活に直結する石油・水インフラを標的とした総力戦の様相を呈している。ホルムズ海峡が事実上封鎖され、世界経済に打撃が及ぶ中、中東諸国の生命線も深刻な脅威にさらされている。
イスラエルと米国の軍事作戦によって体制の存続が危ぶまれるイランは、前例のない抑止力を原則に掲げ、先週以降、周辺の親米同盟国の経済インフラへの無差別攻撃を強化している。イランによる全面的な攻撃により、7日から8日にかけてカタールの液化天然ガス(LNG)施設の稼働が停止したほか、クウェート国際空港の燃料タンクやアラブ首長国連邦(UAE)の石油ターミナルがドローン攻撃を受けた。さらにサウジアラビアの精油工場も標的となるなど、産油国の重要インフラへの攻勢が連日続いている。
イスラエル軍も先週末、テヘラン近郊にある原油貯蔵所や精油施設などの民間エネルギー施設を爆撃した。軍事目標を超えて民間のエネルギー施設を直接攻撃するのは今回が初めてで、黒煙や有毒ガスに覆われた一部地域では、石油成分を含む油の雨が観測された。これはイランの経済的生命線を断ち、国内の動揺を誘う戦略とみられる。
一方、報復攻撃を主導するイラン革命防衛隊は、「原油価格がバレル当たり200ドル(約3万1,000円)を超えても戦いを続けられるのか」と警告しており、双方は攻撃の手を緩める兆しを見せていない。
イスラエルによるイラン精油施設への空爆をめぐっては、米国側が反発したことも明らかになった。米ニュースサイトの「アクシオス」は9日、イスラエル当局者の話として、大規模空爆後に米国側の関係者が強い不快感(WTF)を示す反応を見せたと報じた。
これに対しイランは、湾岸諸国の給水施設を狙った経済戦で対抗している。イランのアッバース・アラーグチー外相は7日、「米国がイランの淡水化施設を攻撃し、30の村で飲料水の供給が途絶えた。米国が危険な前例を作った」と主張した。その翌日、イランは米軍基地が所在するバーレーンの海水淡水化施設を攻撃。この事態を受け、サウジアラビアやクウェートなどの周辺国では、自国の水源が破壊される可能性への懸念が急速に高まっている。
海水を飲料水に変える淡水化施設は、湾岸諸国にとって不可欠なインフラだ。湾岸協力会議(GCC)加盟6か国は、世界の海水淡水化能力の約4割を占める。クウェート(90%)、オマーン(86%)、サウジアラビア(70%)など、淡水化施設への依存度が極めて高い国々にとって、施設への攻撃は国家存亡の危機に直結する。「ウォール・ストリート・ジャーナル」は「イランは湾岸諸国の急所を突いた。淡水化施設はエネルギーインフラ以上に脆弱な弱点だ」と報じている。
情勢が混迷を極める中、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はイランの政権交代を視野に入れ、民間施設への攻撃も辞さない迅速な作戦を展開している。トランプ大統領は、世界的な原油高への懸念に対し「イランの核の脅威を抑えるための小さな代償だ」と述べ、イスラエルの軍事行動を事実上容認する姿勢を示した。トランプ大統領は8日、メディアのインタビューで戦争終結の時期についても「ネタニヤフ首相と共同で決定する」と述べ、強硬路線を支持した。
同日、イランのマスウード・ペゼシュキヤーン大統領はビデオメッセージを通じ、「攻撃を受けた以上、対応せざるを得ない。圧力が強まるほど、我々の反撃も激しさを増す」と警告した。
海水淡水化施設への攻撃が継続されれば、湾岸諸国の直接介入を招き、前例のない規模の中東戦争へと発展する恐れがある。サウジアラビア外務省は9日、イランを非難する声明を発表。「隣国に対する敵対行為はいかなる状況でも容認できず、国民と主権を守るために必要なあらゆる措置を講じる」と表明した。これは開戦以来、最も強い非難表現であり、イランの攻勢が収まらなければ直接的な軍事対応も辞さない意思を示したものと受け止められている。













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