
米国とイスラエルによる対イラン軍事作戦で、米軍兵士少なくとも140人が負傷し、7人が死亡したほか、イランや中東各国でも死者が相次いでいる。こうした中、今回の作戦はトランプ米大統領と政権の誤算から始まったとの指摘が出ている。
「The New York Times(NYT)」が匿名の米政府関係者12人の話として10日(現地時間)に報じたところによると、ライト米エネルギー省長官は先月18日、「米軍による対イラン軍事作戦がエネルギー市場に混乱を招く懸念はない」との自信を示していたとのことだ。また、同長官は昨年6月の「十二日戦争」に言及し、原油価格の上昇は一時的なものに留まるとの見方を示していた。
同紙によると、トランプ氏の側近らも非公開の場で同様の見解を示しており、イランが石油輸送の要衝であるホルムズ海峡を封鎖する可能性についても、政権内では警告を退けていたとされる。しかし、イランが同海峡を通過するタンカーへの攻撃を示唆したことで、判断ミスの深刻さが改めて浮き彫りとなった。原油価格は急騰し、トランプ政権は米国内の燃料価格上昇による経済的影響の回避に追われている。
タンカー乗組員への「激励」と安全懸念
一方、トランプ氏はタンカーの乗組員に対し、「度胸を持ってホルムズ海峡を通過せよ」と呼びかけたという。政権関係者が同紙に明らかにしたところでは、イランが同海峡に機雷を敷設する準備を進めているとの情報があり、輸送の再開は難航している。
にもかかわらず、トランプ氏は9日放送の「FOXニュース」のインタビューで、タンカー乗組員に対し「恐れることは何もない。彼らには海軍力がなく、我々は彼らの船をすべて撃沈した」と主張。司会者によれば、トランプ氏はタンカー1隻が無事に通過したとして「頑張れ、みんな」と激励したという。事実上、乗組員の安全よりも、タンカーの通航実績を増やすことで対外的な宣伝に利用しようとしているとの批判も出ている。
原油高とインフレへの懸念は、物価に敏感な米国民だけでなく、11月の中間選挙を控える共和党関係者にとっても深刻な不安要素となっている。同紙は、共和党の政治家らが経済政策への悪影響を懸念していると伝えている。
2日間で8,790億円を消費 揺らぐメッセージ
「The New York Times(NYT)」は、トランプ政権が開戦後も海上輸送路が維持されると確信していた点について批判的な論調で伝えている。国際原油価格の急騰と高額な軍需品の急速な消費により、トランプ氏は終戦策の模索を迫られているという。
米軍は対イラン空爆開始からの2日間だけで56億ドル(約8,790億8,200万円)相当の弾薬を投下し、先端兵器を急速に消耗した。この事実は国防総省関係者も議会の非公開ブリーフィングで認めているとのことだ。
メディアは、トランプ氏が一貫したメッセージを発信できていない点も厳しく指摘している。同氏は9日の「CBSニュース」の電話インタビューで、戦争は「ほぼ完了した」と述べ、同日午後の会見でも「すぐに終わる」と強調した。しかし、その数時間後には「十分ではない」と述べ、今週中の終戦については否定するなど、発言が変遷している。
トランプ1期政権で国家安全保障会議副補佐官を務めたマット・ポッティンジャー氏は、同紙に対し「大統領は当初の想定よりも戦いを長引かせる必要があるとの考えを繰り返す可能性がある」と分析。10日にはヘグセス米国防長官が「現在は戦争のどの段階にあるか判断できない」と述べ、レビット報道官も明確な終戦時期を示さないなど、政権内でも足並みの乱れが露呈している。













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