
中国の宇宙太陽光発電を手がける研究者が、この技術に軍事用途を組み込む構想を示し、注目を集めている。
香港メディアのサウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)によると、中国の宇宙太陽光発電所建設計画「朱日」プロジェクトの主要設計者である西安電子科技大学のドゥアン・バオヤン教授は、先月発表した論文で、研究チームが巨大な軌道インフラの設計を全面的に見直したと明らかにした。
中国が2030年を目標に進める朱日プロジェクトは、宇宙空間に大規模な太陽光発電所を建設し、そこで生み出した電力を地球へ送る構想だ。
宇宙太陽光発電は地上の太陽光発電と異なり、昼夜や天候の影響を受けにくく、安定した発電が期待できる技術として注目されてきた。
太陽光発電モジュールを搭載した衛星を軌道に投入して電力を生み出し、それをマイクロ波に変換して地上へ送る。地上側では受信したエネルギーを再び直流電力に変えて利用する仕組みとなる。
JAXAなどが関わるOHISAMAプロジェクトでも、宇宙からの無線送電に向けた実証研究が進む一方、中国は2030年の軌道上実証を目標に掲げている。
ドゥアン教授は、宇宙から地上へ長距離でエネルギーを正確に届けるには、極めて細く、精密に制御できるマイクロ波ビームが必要になると説明している。
この設計は無線電力伝送の効率と精度を高めるためのものだが、対象を絞った信号送信にも応用できる可能性があるという。
さらに、新たなシステムについては、エネルギー伝送にとどまらず、通信、航法、偵察、妨害、遠隔制御といった幅広い任務を支える必要があると強調した。

ドゥアン教授の研究チームは10年以上にわたって宇宙太陽光発電を研究しており、主要なアプローチの一つとしてOMEGA設計を提案してきた。
今回の論文では、宇宙に配置する発電設備を単一の巨大構造物ではなく、複数の小型装置で構成するモジュール型システムへ転換する案を示した。
一つの巨大発電設備に依存するのではなく、複数の太陽光集光装置をモジュールとアレイとして束ねる分散型設計を採ることで、一部の構成要素に不具合が生じても、システム全体の稼働を維持しやすくする狙いがある。
この方式であれば、宇宙で極めて大きな電力を扱う際の工学的な難しさを和らげられ、システム構築全体の難度も下げられるとドゥアン教授はみている。
米航空宇宙局(NASA)も2010年代初頭、多数の小型モジュールを連動させて発電と送電を行うSPS-ALPHA構想を打ち出していた。
ドゥアン教授は、OMEGA設計はSPS-ALPHAに比べて構造がより単純で、エネルギー回収の効率向上や熱管理の改善など、複数の利点があると主張する。
1960年代に初めて提唱された宇宙太陽光発電は、大規模なクリーンエネルギーを継続的に供給できる構想として注目を浴びてきた。
ただ、発電設備を宇宙へ運ぶ膨大なコスト、過酷な宇宙環境でパネルを維持管理する技術的課題、宇宙ごみとの衝突リスク、マイクロ波送電の効率と安全性など、解決すべき課題はなお残る。













コメント0