
「共に強く豊かに!」
ベトナムを訪問中の高市早苗首相は2日、ベトナム国家大学ハノイ校で演説し、志を同じくする国々と手を携え、相手が必要とする協力を進めていくと述べた。2月の総選挙で自民党が掲げた「日本列島を強く豊かに」というスローガンをもじり、地域への関与をさらに強める姿勢を打ち出した。演説後には学生ら約270人が起立して拍手を送り、メディアは3日、これを安倍晋三元首相が提唱した外交構想「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」を、岸田政権に続いてさらに発展させた「第3弾」だと伝えている。
FOIPは、中国の軍事・経済拡張戦略「一帯一路」への対抗軸として、安倍晋三元首相が掲げた構想である。そこでは「力や威圧」ではなく、「法の支配」と「航行の自由」が重視されてきた。岸田政権はその枠組みを海洋安全保障にとどめず、空域の安全保障や気候、保健、サイバー分野へも広げており、高市首相が今回示した新たなFOIPでは、さらに「経済安全保障協力」の発想が加えられた。
高市首相は、経済と医療に欠かせない物資の供給網を地域で強化しなければならないと強調した。そのうえで、中長期的には「アジア全体の原油備蓄・放出システム」の構築も視野に入れる考えを示している。中国によるレアアースの武器化や、イランによるホルムズ海峡封鎖のリスクが高まる中、主要サプライチェーンを各国で支える必要があるとの認識を示した。さらに、供給網はシーレーンの安全で自由な航行によって支えられるとして、安全保障面での連携の重要性にも言及している。
具体策としては、原油や石油製品の確保に苦しむアジア各国を対象に、100億ドル(約1兆5,700億円)規模の「アジア・エネルギー・資源供給力強靱化パートナーシップ(POWERR Asia)」を提示した。あわせて「FOIPデジタル回廊」構想を打ち出し、AI向けの海底ケーブルや衛星通信インフラの整備も支援すると明らかにした。各国の防衛力強化に向けては、政府開発援助(ODA)に加え、軍などを直接支援する政府安全保障能力強化支援(OSA)を積極的に活用し、防衛装備品などを無償で供与する方針も示している。
毎日新聞は、高市首相が今回の演説先としてオーストラリアやフィリピンではなく、中国に比較的近いベトナムを選んだのは、影響力の最大化を狙ったためだと報じた。高市首相は対外的に友好国との協力を広げる一方、国内では防衛力の強化と憲法改正を急いでいる。3日の憲法記念日に公開された産経新聞のインタビューでは、憲法改正に前向きな政党などを合わせれば参議院でも3分の2を超えると述べ、改憲発議は可能だとの認識を示した。さらに、自民党議員と党員、党友の総力を結集して早期実現を目指すと語り、国民の理解を得やすいテーマから議論を進めていく考えも表明している。
















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