
米国とイランの終戦交渉が、最終段階で揺らいでいる。両国が暫定合意した終戦に関する了解覚書(MOU)について、米国のドナルド・トランプ大統領が自ら待ったをかけ、交渉は再調整局面に入った。米国はホルムズ海峡の完全開放とイランの非核化を迫る一方、アジアの同盟国には国防費の増額を求め、軍事的負担の分担まで促している。
トランプ大統領、イラン終戦草案を却下
5月30日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、トランプ大統領が米国とイランの当局者がまとめた終戦MOU草案を承認せず、修正案を作成してイラン側に改めて伝えたと報じた。当初、両国は休戦延長と非核化交渉の開始などを盛り込んだ草案に暫定合意しており、残る手続きはトランプ大統領の最終承認だけだった。
草案には、休戦の60日間延長、ホルムズ海峡の完全開放、休戦期間中の非核化合意の取りまとめ、制裁緩和と凍結資産解除を巡る協議などが盛り込まれていたと、現地メディアは伝えている。
トランプ大統領は、とりわけイランの凍結資産解除と制裁緩和に関する条項に不満を示したとされる。トランプ大統領はオバマ政権時代に締結されたイラン核合意(JCPOA)について、米国が過度に譲歩した合意だと批判し、2018年に離脱した経緯がある。米国はイランが交渉の過程で時間稼ぎをしていると判断しており、従来案よりさらに厳しい条件を提示し、イラン最高指導部のモジュタバ・ハメネイ師側に圧力をかけているという。
現在の交渉で最大の争点となっているのは、核問題とホルムズ海峡の管理権だ。米国は、ホルムズ海峡を戦争前と同様、すべての国が自由に利用できる国際水路へ戻すべきだとの立場を取る。これに対し、イランは戦争の過程で確保した海峡の管理権を維持しようとしている。
米国のピート・ヘグセス国防長官は、シンガポールで開かれたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)で、「海峡は世界全体が自由に利用でき、通航料もない状態でなければならない」と述べた。米国は最近、イランが設立したペルシャ湾海峡庁(PGSA)を制裁対象に指定し、米国企業や個人による通航料関連の協議も禁じている。
ただ、イランは海峡の管理権が自国にあると主張している。戦後復興費用を確保するため、船舶通航料の徴収も進める構えだ。戦争賠償金を米国が受け入れる可能性は低いものの、海峡管理体制を維持できれば、イランは安定した財源を確保できる。
両国は交渉とは別に、軍事的圧力も続けている。ヘグセス長官は「対イラン海上封鎖は鉄壁の態勢で維持されており、必要であればいつでも再び介入する準備がある」と強調した。実際、米中央軍はこの日、オマーン湾でイランの港に向かっていたガンビア船籍の商船にミサイルを発射した。米軍は、この船舶が海上封鎖措置に違反したと説明している。
アジア同盟国には防衛費増額を要求
米国はアジアの同盟国に対し、防衛費増額を求め、安全保障上の負担分担を強く迫っている。ヘグセス長官はシャングリラ・ダイアローグの演説で、同盟国やパートナー国に国防費を国内総生産(GDP)比3.5%程度まで引き上げるよう改めて呼びかけた。最近、国防費をGDP比3.5%程度に拡大する方針を決めた韓国に言及し、「実用主義と指導力に拍手を送る」と持ち上げている。
一部メディアは、今回の発言が年内の改定に向けて議論が進む国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の「安保3文書」にも影響を与える可能性があると分析している。政府は現在、国内総生産(GDP)比で約2%となっている防衛費をさらに拡大するか検討中だ。与党・自民党内では、北大西洋条約機構(NATO)加盟国や韓国、オーストラリアの事例などを参考に、増額規模を議論すべきだとの意見が強い。ただ、小泉進次郎防衛相はヘグセス長官との会談後、「政府が主体的に判断する問題だ」と述べた。
読売新聞は、米国が中東に軍事力を集中させる中、東アジアで力の空白への懸念が高まっていると指摘した。最近の米中首脳会談の過程で、台湾への武器売却問題が交渉カードとして取り上げられたことも、安全保障当局の警戒感を高めているとの見方が出ている。













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