
近年、グローバルテック企業が科学研究の自動化を目指し、「AI科学者」の開発に注力している。グーグルの「ディープマインド・アルファフォールド(DeepMind AlphaFold)」や日本の「サカナAI(Sakana AI)」のように特定分野に特化したモデルが登場しているが、依然として人間の科学者の直感に頼る限界があると指摘されている。こうした中、韓国のスタートアップ企業のアステロモフ(Asteromorph)が、科学的創造性を数学的に構造化する新たなアプローチで注目を集めている。
科学的超知能開発を目指すAI研究スタートアップ企業のアステロモフが、50億ウォン(約4億9,809万円)規模のシード投資を獲得したと22日に発表した。今回の投資では、ディープテックの初期投資に強みを持つフューチャープレイ(FuturePlay)がリード投資家として参加。フューチャープレイの関係者は「アステロモフは韓国で超知能を実現する最初のスタートアップ企業であり、世界的に類似の技術潮流の中でも際立つ独創性と実行力を持つチーム」と評価した。
アステロモフは今年2月に設立。生物学と化学分野で独自の研究アイデアを生み出し、これを科学的仮説に発展させるAIの基盤モデル「スペイサー(SPACER)」を開発中だ。新たな科学的アイデアの創出プロセスを数学的に実現し、AIが自律的な科学的能力を持てるよう設計されている点が特徴だ。
従来、グーグルやサカナAIなどグローバルテック企業が開発した「AI科学者モデル」は、研究の独創性や実験設計において人間の直感に依存する限界があると評価されてきた。AIは既存データのパターン認識には優れているものの、全く新しい仮説の創出には困難を伴うためだ。
アステロモフはこの限界を克服するため、科学的創造性そのものを数学的に定義し、AIが自律的に創造的思考を展開できるアプローチを採用したという。
アステロモフの代表、イ・ミンヒョン氏は「グーグル・ディープマインドのアルファフォールドが数週間で人類が数十年かけて解明した以上のタンパク質構造を予測したように、科学的超知能が実現すれば、一般科学分野でも爆発的かつ急速な進歩が可能になる」と述べ、「早ければ今年下半期からスペイサーが毎日数百の新たな科学的仮説を生成できるようになると期待している」と説明した。