
宇宙が人工知能(AI)の計算空間として再評価されている。巨大テック企業(ビッグテック)が、地上のAIデータセンターが直面する電力不足や発熱問題の代替策として、宇宙にデータセンターを設置する方策を本格的に推進している。
宇宙AIデータセンターの推進状況
「ウォール・ストリート・ジャーナル」(WSJ)は11月10日(現地時間)、「イーロン・マスク氏が創業した『スペースX』が『スターリンク』衛星にAI計算装置を搭載し、宇宙AIデータセンターを構築する計画を進めている」と報じた。また、「アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏の宇宙企業『ブルーオリジン』も1年以上にわたり宇宙データセンター技術開発専任チームを運営している」と伝えた。
宇宙AIデータセンターとは、AI計算装置を複数の低軌道(地上200~2,000km)衛星に搭載し、データセンターのように運営する技術である。複数の衛星が相互に接続され、1つの大きなコンピューティングセンターのように協力して計算を実行することを目指している。
「スペースX」の最高財務責任者(CFO)のブレット・ジョンセン氏は、11月12日に送付した株主への書簡で「スペースX」の上場推進計画を公開し、「上場後に確保された資金を『スターシップ』宇宙船の発射拡大、宇宙内AIデータセンターの構築などに活用する計画だ」と述べた。
米経済メディアの「CNBC」も最近、「NVIDIA」が投資したスタートアップの「Starcloud」が「スペースX」のロケットで発射した衛星に「NVIDIA」のグラフィック処理装置(GPU)「H100」を搭載し、宇宙軌道でAIモデルを動作させたと報じた。宇宙でAIモデルを学習させたのはこれが初めてである。
「OpenAI」最高経営責任者(CEO)のサム・アルトマン氏もロケット製造会社「ストーク・スペース」に接触し、株式投資を通じて経営権を確保する案を議論したが中止したという報道もあった。「Google」も11月4日、AIインフラを宇宙に拡張する「プロジェクト・サンキャッチャー」(Project Suncatcher)構想を公開した。太陽電池で電力を自ら生産する小型衛星に「TPU」(テンソル・プロセッシング・ユニット)などのAIチップを搭載し、衛星を1つの計算ネットワークのように接続する構想である。
地上データセンターが直面する課題と宇宙の利点
AIの計算量が爆発的に増加し、地上のデータセンターはエネルギー、用地、冷却問題という3つの構造的限界に直面している。市場調査機関「Statista」によると、グローバルデータ生成量は今年175ゼタバイト(ZB)から2035年には2,142ZBまで増加すると見込まれている。AIモデルが大きくなるにつれて電力消費と冷却水使用量も爆発的に増加し、一部の都市では電力網への負担のためデータセンターの構築が保留される事態にまで至っている。
宇宙は地上とは異なり、AIが必要とする3つの条件を全て提供できる。
- 電力:宇宙低軌道では気象の影響を受けずに太陽光を安定的に確保し、計算に必要な電力を自ら生産できる。
- 冷却:真空状態では地上のように膨大な水を使わずに熱を宇宙空間に直接放出できる。
- 用地:用地制約も事実上ない。
ジェフ・ベゾス氏はこれについて「宇宙では24時間途切れることのない太陽エネルギーを利用できるため、大型AIクラスターを地球よりもはるかに安定して運営できる」と述べた。
実現への課題:コストと宇宙認証
業界では、大規模衛星運用と再利用ロケット開発経験を全て持つ「スペースX」が有利な立場にあると評価されている。マスクCEOは「スターリンク」衛星網と次世代大型ロケット「スターシップ」を組み合わせて、宇宙を新しいAIインフラに拡張する構想を持っている。「スターシップ」は超大型貨物を再利用方式で運搬できるため、今後データセンターモジュールをまるごと宇宙に運ぶ役割を担うことになる。
マスク氏は、「スターシップ」が安定化すれば宇宙データセンターの構築コストが地上と大きく変わらないだろうと考えている。彼は11月に開催された「バロンキャピタルカンファレンス」で「毎年100ギガワット(GW)規模の太陽光AI衛星を打ち上げる道が開かれており、これは大規模AIを最も低コストで運用できる方法になるだろう」と述べた。
ただし、宇宙データセンターはまだ実証段階に入っていない初期段階の技術である。発射コストが依然として高く、複数の衛星とサーバーモジュールを軌道に上げる構造では経済性の問題が解決されていない。「スペースX」が再利用ロケットでコストを下げているが、宇宙データセンターが現実化するには大型モジュールを安価に繰り返し発射できるレベルまでコストがさらに下がる必要がある。WSJは「宇宙にインフラを移すには発射コストと衛星コストが十分に下がる必要がある」と報じた。
専門家は宇宙環境に耐えられる基本的なシステムの安定性も解決しなければならないと指摘している。AIチップと機器は強い放射線、温度差、振動などに耐えなければならない「宇宙認証」(Space Qualification)を受けたことがなく、それに適したパッケージングとシールド技術を新たに開発する必要がある。
変康日UNIST電気電子工学科教授は「宇宙で降り注ぐ強い粒子と放射線を防ぐには機器を金属で包むのが最も確実だが、すべての機器を包むと重量が大幅に増えて発射に制約が生じる」と述べ、「結局、必要な部分だけを最小限に保護シールドして宇宙環境に耐えられることを証明するパッケージング技術を誰が最初に確保するかが鍵だ」と指摘した。













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