
人工知能(AI)をめぐるバブル論がくすぶる中、オープンソースのAIモデルが、過熱するAI投資ブームを沈静化させる「針」になり得るとの見方が浮上している。
報道によると、英フィナンシャル・タイムズ紙は11月17日(現地時間)、現在のAI企業の評価額は「最先端のAIモデルを構築できるのは一握りの企業に限られ、独占的な利益を得られる」という前提に基づいて形成されていると指摘した。そのうえで、オープンソースモデルが低コストで独自開発(クローズド)型モデルと同等の性能を実現すれば、この前提が崩れ、AI関連投資の価値が急激に調整される可能性があると報じている。
市場が「クローズド型モデルは最先端研究には有用でも、多くのAI応用には不可欠ではない」と認識するようになれば、オープンAIやアンスロピックに投じられた数百億ドル規模の企業価値も、大幅な再評価を免れないとの分析である。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)の経済学者、フランク・ネーグル氏の最新の研究によると、オープンソースAIモデルの利用コストは、同等のクローズド型モデルの平均6分の1にとどまることが判明した。また、新たなクローズド型モデルが登場してから数か月で性能差を急速に縮めるなど、競争力を高めていることが示されている。
もっとも、オープンAIやグーグルといった先行企業も無料で利用できるオープンソースモデルを保有しているが、同紙はこれらが周辺的なプロジェクトにとどまっていると指摘した。両社が本格的に資源を投じない限り、意味のある市場シェアを確保するのは難しいとの評価である。
現在、オープンソースAIモデルを主導しているのは中国企業である。ディープシーク(DeepSeek)やアリババのモデルは、主要なAIベンチマークで安定して高い成績を上げている。MITと開発者プラットフォーム「ハギングフェイス」が共同で実施した最近の調査では、グーグル、メタ、オープンAIのオープンソースモデルのシェアが急減する一方で、ディープシークやアリババの「Qwen(クウェン)」など中国系モデルの利用比率が急速に拡大していることが明らかになった。
中国に限らず、欧米の企業や研究機関もオープンソースモデルの開発を加速させ、追撃態勢に入っている。フランスのスタートアップ企業、ミストラルは最近公開した新モデルをオープンソース化し、非推論型オープンソースモデルで世界2位に浮上して中国勢との差を縮めた。シアトルを拠点とするアレン人工知能研究所(Ai2)も、学習データからモデル出力を定義するパラメーターに至るまで、開発パイプラインの全工程を公開した「OLMo(オルモ)」モデルを完全オープン形式で発表した。こうした高い開放性は、AIを基盤にアプリやサービスを開発する開発者にとって極めて高い価値を提供すると評価されている。
英フィナンシャル・タイムズ紙は「大手テック企業がクローズド型モデルからオープンソースの代替へと舵を切る、あるいは完全に開かれたモデルを基盤とする革新的な消費者向けアプリが登場する瞬間が、AI投資ブームの転換点になる」と指摘した。そのうえで、「AIバブルが崩壊した後の勝者は、オープンソースAIモデルの開発者になる可能性が高い」との見通しを示している。
さらに、ドットコム・バブル崩壊の前例を踏まえれば、コスト効率と拡張性を武器にオープンソースOSのリナックス(Linux)が高い生存力を示したように、AIバブル崩壊後も同様のパターンが繰り返される可能性があるとの見方が出ている。













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