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「衝突寸前200m」スターリンクと中国衛星が急接近、低軌道は限界なのか

梶原圭介 アクセス  

引用:ヨーロッパ宇宙機関
引用:ヨーロッパ宇宙機関

9日、米スペースX(SpaceX)の衛星インターネット「スターリンク」の衛星と中国の衛星が、衝突寸前まで接近する事案が発生した。中国甘粛省の酒泉衛星発射センターから打ち上げられた9機の衛星のうち1機が、高度560kmの上空でスターリンク衛星と約200mの距離まで接近した。スターリンク衛星は、概ね530kmから550kmの低軌道を周回している。

低軌道に配置される衛星が急増し、衛星間衝突の危険がますます高まっている。過去7年間で人工衛星の数は4,000機から約1万4,000機へと3倍以上に増加した。

スペースXが米国連邦通信委員会(FCC)に提出した今年の半期報告書によると、スターリンク衛星は今年5月末までの6ヶ月間に14万4,404回の衝突回避機動を実施したとのことである。これは1分50秒ごとに1回の回避機動を行った計算になる。英バーミンガムのヒュー・ルイス大学教授(宇宙航空学)は「これは以前の6ヶ月間よりもほぼ3倍増加した数値である」と述べた。同教授は、この傾向が継続すれば、スターリンク衛星は2028年までに6ヶ月ごとに約100万回、軌道を修正しなければならないと算出している。

しかし、人工衛星に異常が発生し、衝突回避装置が作動しない場合、どのような事態を招くのか、懸念が広がっている。

2つの衛星が1km以内に接近遭遇するのに要する時間は、2018年に比べて2025年に大幅に短縮された。

衝突回避機動は6ヶ月ごとに2倍のペースで増加

米プリンストン大学を中心とした国際研究チームが、公開されている衛星位置データを活用して計算した結果、回避機動がなければわずか2.8日後に衝突が発生する可能性があることが示された。この研究結果は、プレプリントサーバーの「arXiv(アーカイブ)」で発表されている。

研究チームは衝突の危険性を具体的な数値で表現するため、「CRASH(衝突発生および重大被害)」時計という新指標を開発した。この時計は、衝突回避機動を全く行わない場合や、ソフトウェアのエラーなどで状況認識に深刻な支障が発生した場合に、致命的な衝突が発生するまでの予想時間を示すものである。人類の核戦争の危機を警告するために作られた「終末時計」になぞらえ、「衛星終末時計」とも呼べる指標である。

この指標を適用した結果、最初のスターリンク衛星が打ち上げられる前の2018年の衛星数を基準とした場合、全衛星が突然機動能力を失えば、衛星衝突は121日に1回発生すると算出された。これは衝突回避機動を行わない場合でも、24時間以内に2つの衛星が衝突する確率が1%未満であることを意味している。

しかし、群衛星(コンステレーション)だけで約1万機が配置されている2025年6月時点では、2.8日に1回衝突が発生する可能性があるとの計算結果が出た。わずか7年で約40倍に短縮されたことになる。この変化は、1つの衝突が連鎖的に他の衝突を引き起こす「ケスラー症候群」を誘発する可能性を高めている。衛星の密度が高く、対応時間が不足しているためである。

研究チームが現在の衛星数を基準にシミュレーションした結果、何らかの理由で衝突回避機動が行われない場合、低軌道全体では22秒ごとに、スターリンク衛星の密集区域(高度550km)では11分ごとに、他の衛星と1km以内で接近遭遇することが示された。1kmは、現在の衛星運用者が衝突回避機動を実行する基準となる距離である。研究チームは「スターリンク衛星の場合、現在1機あたり年平均41回の衝突回避機動を行っており、全群衛星で見ると平均1.8分ごとに回避機動が行われている」と言及した。研究チームによると、これまでのスターリンクの衝突回避機動回数は、6ヶ月ごとに2倍のペースで増加しているとのことである。

引用:ヨーロッパ宇宙機関
引用:ヨーロッパ宇宙機関

災害が現実となる可能性のある2つの要因

研究チームは、衝突時計が示す数値の危険度を「危険」「注意」「安全」の3段階に分類した。

それによれば、時計の値が3日未満なら「注意」、1.4日未満なら「危険」段階に該当する。「危険」段階は、24時間以内に1回以上の衝突が発生する確率が50%に達する段階である。研究チームによれば、現在の数値である2.8日は、24時間以内に1回以上衝突が発生する確率が30%の「注意」段階に相当する。研究チームは「危険段階以前の状態を維持するには、時計の値が1.4日より長くなければならない」と強調した。

研究チームは、全衛星が突然機動能力を停止する事態を引き起こす可能性のある要因として、強力な「太陽嵐」や致命的な「ソフトウェアエラー」を挙げている。これらの状況が発生した場合、衛星の航法および通信システムが損傷し、機動力を失う可能性があるためである。実際、2024年5月に発生した強い太陽嵐の影響で、その後の3日間で全衛星の半数以上が大気抵抗の増加に伴う衝突防止のために軌道を修正した事例がある。

しかし、ルクセンブルクの衛星通信会社「SESサテライト」のエンジニア、ウィニード・バタパリ氏は、科学誌「ニュー・サイエンティスト」に対し「強力な太陽嵐が全衛星を同時に機能不全にする可能性は低い」との見解を述べた。一方、研究に参加していないルイス教授は、この指標が地球軌道の混雑度を可視化する上で有用であると評価している。

梶原圭介
//= the_author_meta('email'); ?>editor@kangnamtimes.com

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