27日、パリオリンピックのボクシング女子57キロ級で金メダルを獲得し、性別論争の渦中にいた林郁婷(台湾)が、性別適格性が疑問視されたことを受け、イギリスで開催されるワールドボクシング(WB)主催の大会を棄権したと発表した。
しかし、大会主催者側は林がそもそも大会にエントリーしていなかったと反論し、騒動となっている。
WBは国際ボクシング協会を離脱した各国・地域の競技連盟が中心となり、昨年11月に設立された国際団体だ。
現在、台湾を含む55の連盟が加盟している。
林の不参加を発表した台湾教育部体育署は「WBは設立されたばかりでまだ発展を進めている段階であり、選手の権利を保護するための国際オリンピック委員会基準の明確な規制指針を欠いている」とし、「WBが医療情報の機密保持の仕組みを確立していない」と不参加の理由を述べた。
さらに「林はイギリスで包括的な医療検査を受けることを申し出たが、WBはこれに同意しなかった」と付け加えた。
関係者はWBには性別論争から選手を守る観点が不足していると、林が判断し、「無言の抗議」の意味合いを込めて不参加を決めたと話した。
しかし、WBの立場は林の主張とはまったく異なっていた。
同日、WBは「現在の出場資格指針は林が大会に参加することを妨げるものではない」とし、広報担当者は林はそもそも大会に「エントリーしていなかった」と述べた。
林は、女子66キロ級で金メダルに輝いたアルジェリアのイマネ・ヘリフとともに国際ボクシング協会が主催した昨年の世界選手権で、性別適格性検査で男性の性染色体「XY染色体」を持っていることが明らかになり、失格処分を受けた。
しかし、国際オリンピック委員会は両者のパリオリンピック出場について、「参加資格と参加規程、大会運営を管理するパリ2024ボクシングユニットが定めたすべての医療規定を遵守している」とし、パスポートに記載された性別を基準にオリンピック出場を認めた。