トランプ大統領、超音速飛行の禁止令を撤廃する行政命令に署名
超音速旅客機「コンコルド」退役から20年、アメリカで再び超音速飛行時代の幕が開けたと科学専門の海外メディア「ニュー・アトラス」が報じた。
アメリカのドナルド・トランプ大統領は先週、アメリカ全土での陸上を通じた超音速飛行の禁止令を撤廃する行政命令に署名した。
トランプ大統領は「この命令はアメリカを高速航空分野で確固たる先導者として位置付ける歴史的で国家的な取り組みの始まりだ」と述べ、「時代遅れの基準を見直し、現在と将来の技術を取り入れることで、エンジニア、実業家、先見の明ある人々がこれまで以上に速く、静かで、安全かつ効率的な次世代の航空旅行を提供できるよう後押しする」と語った。
アメリカは1973年、超音速機が時速1,500km以上で飛行する際に発生する「ソニックブーム」への苦情が増加したため、初めて超音速飛行の禁止令を導入した。超音速機が発生させるソニックブームは地上で最大110デシベル（dB）に達することがあり、これは至近距離で鳴るクラクションの音量に匹敵する。
今回の禁止令撤廃により、超音速飛行技術の発展が期待される。かつてイギリス航空のコンコルドは、ロンドンとニューヨーク間の飛行時間を、8〜9時間から3時間以内に短縮し、大西洋横断の最速旅客機の記録を保持していた。2003年のコンコルドが退役した後、多くの航空宇宙企業はより効率的で静かな、安定した航空機の設計に注力してきた。
しかし近年、多くの企業が超音速旅客機の開発に拍車をかけている。これらの企業は、耳をつんざくような騒音を軽減し、新たな設計アイデアと素材を用いて高速飛行時の熱や高高度などの過酷な環境に耐え、さらに高速で飛行できる航空機の開発に取り組んでいる。
この分野に挑戦している企業には、「NASA」と「ロッキード・マーティン」、今年初めに無音でマッハ1を突破した「Boom Technology」、先月ドローン「クウォーターホース（Quarterhorse）」Mk1の試験飛行を実施した「ヘルメウス」、12人乗り超音速機を開発中の「Venus Aerospace」などがある。
今回の行政命令は、これらの企業が今後数年以内に超音速飛行の分野でイノベーションを加速させる道を開くものだと、同メディアは評価している。