
生成AI「チャットGPT」の登場以降、英国では新卒やインターン向けの求人が激減している。求人サイトAdzunaの分析によれば、2022年11月から2025年5月までの2年半で、新卒や未経験者向けの求人数が31.9%も減少したという。
調査によると、全体の求人に占める新卒枠の割合も29%から25%に縮小。業種別では、小売業が78.2%と最も大きく落ち込み、物流、倉庫、管理職もそれに続いた。さらに、ITや会計・金融といったホワイトカラー分野でも新卒枠は半減しており、幅広い業界でAIの影響が出ている。
一方、全体の求人数は同期間に0.5%増加しており、3カ月連続で成長を記録。それにもかかわらず新卒求人だけが減っていることから、Adzunaは「AIによる新卒レベルの業務の代替が加速している」と分析。平均年収は1年前に比べて9.4%上昇し、コスト圧力も影響していると指摘した。
Adzunaのデータ責任者であるジェームズ・ニーブ氏は「経済の不確実性に加え、AIが新卒雇用の減少に拍車をかけている」と述べ、「企業側には国民保険料の負担増、新たな雇用規制など、人材採用に対するブレーキ要因が増えている」と説明した。
実際にAIを活用した人員削減方針を公表する企業も続出している。通信大手BTは2030年までに1万人分の業務をAIで置き換えると明言。今月、同社CEOのアリソン・カークビー氏は「想定以上に削減できる可能性もある」と語った。また、アマゾンもAIの広範な導入によって多数の職が消失するとの見方を示している。
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