
ロシアで自らを「イエス・キリストの生まれ変わり」と名乗った元警官出身のカルト指導者が、信者への身体的・精神的虐待や金銭搾取の罪で懲役12年の判決を受けた。
2日(現地時間)、ロイター通信によると、先月30日、ロシア・シベリアのノヴォシビルスク裁判所は、違法な宗教団体の運営や信者に対する身体的・経済的搾取などの容疑で起訴された元交通警官、セルゲイ・アナトリエヴィッチ・トロップ被告に、懲役12年の判決を言い渡したという。また、側近2人にもそれぞれ懲役12年と11年の刑が宣告された。
捜査当局は、この3人は少なくとも16人の信者に対して精神的被害を与え、そのうち6人には身体的被害も加えていたと明らかにした。信者の間で「ヴィッサリオン(Vissarion・新しい命を与える者)」と呼ばれていたトロップ被告は、2人の側近とともに長期にわたり信者に被害を与えていた容疑が持たれている。
ロシア連邦保安庁(FSB)は2020年、ヘリコプターを使った急襲作戦を行い、トロップ被告とその側近らを逮捕、捜査を進めていた。
ソビエト連邦崩壊後の1991年、トロップ被告はシベリア・クラスノヤルスクの奥地に「最後の遺言教会」を設立した。長髪に髭を生やし、自らを「神の言葉を伝えるために生まれ変わった者」と称し、宗教共同体を築いた。ソビエト連邦崩壊直後の1990年代初頭、ロシアが貧困と無秩序に苦しむ中で、彼は数千人もの信者を集めた。
トロップ被告は信者に肉食を禁じ、飲酒や喫煙、悪口、金銭の使用も禁止するよう強要していたとされる。一部の信者は「夜明けの住処(Abode of Dawn)」または「太陽の都市(Sun City)」と呼ばれる共同体に移り住み、集団生活を送っていたという。
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