今月17日、韓国ソウル・ヨンナムドン(延南洞)の京義線スプキル(森の道)周辺の裏通りで日本語の看板を掲げた飲食店が並ぶ中、人気シンガーソングライター・優里の「ベテルギウス」が流れていた。また、日本風のキーホルダーやぬいぐるみを売る雑貨店、日本式の居酒屋に加えて、日本製品専用の自動販売機まで登場している。

「ヨントラルパーク」とも呼ばれるこの一帯は、今では「日本通り」と呼べるほど、韓国の若者たちの間で日本文化を体験できるスポットとして知られるようになっている。
この場所を訪れた大学生のキム・ミンソクさんは「日本風の居酒屋で日本の音楽を聴きながらハイボールを飲んで、そのあとカラオケで日本の歌を歌っていると、まるで日本にいる気分になる」と話していた。
日本人アーティストの来韓コンサートは完売続出
日本文化は今、韓国の大衆文化の中に浸透している。
今月初めにソウルにオープンした日本のディスカウントストア「ドン・キホーテ」には連日、多くの人が押し寄せ、日本食やアニメ、音楽、映画などを幅広く楽しむ人も増えている。かつては「オタク」の専門分野とされていた日本のサブカルチャーがKカルチャーに溶け込み、「第2のJルネサンス(日本文化再興)」を迎えているとの声もある。
中でも、かつてはマイナーとされていた日本の音楽がこのブームをけん引している。韓国最大手のカラオケ運営会社TJメディアによると、昨年、コインカラオケで日本の楽曲が再生された回数は3,600万回を記録したという。これは、1,500万回だった2022年の約2.4倍に当たる。TJメディアの関係者によれば「J-POPの新曲を追加してほしいという要望が増え、今年だけで新たに収録された日本の曲は6,300曲を超えた」と話している。
日本人アーティストの来韓公演も完売が続いている。
今年3月、仁川で開催された米津玄師の公演チケット2万2,000席は2日連続で完売した。4月に初来韓を果たしたシンガーソングライターのあいみょんの公演チケット1万6,000枚も、販売開始からわずか10分で完売したという。
昨年、韓国の音楽配信サービスMelonの「海外総合トップチャート100」にランクインした日本の楽曲は過去最多の8曲を記録した。これらには、米津玄師やあいみょんの曲も含まれている。
日本のアニメや関連グッズも人気急上昇
韓国で紹介される日本アニメも多様化が進んでいる。これまでは『となりのトトロ』や『ハウルの動く城』といった定番作品だけが人気を集めていたが、近年では日本国内であまり注目されていない作品も韓国で紹介される傾向にあるという。
韓国唯一のアニメ専門動画配信プラットフォーム「ラフテル」で昨年配信された日本アニメは3,471本と、2021年の2,181本から約60%増加した。
今年に入ってからは6月までにすでに3,533本が配信され、半年で昨年の年間総数を上回った。ラフテルの有料会員数も2022年の17万人から昨年は28万人へと、64%も増加しているという。
昨年は、韓国の人気ガールズグループ・IVEのメンバー、チャン・ウォニョンさんが、日本のアニメ『推しの子』に登場する主人公のダンスを真似る動画が話題になるなど、日本アニメの高まりが感じられる。
日本アニメの人気に伴い、関連グッズの売れ行きも好調だという。
ラフテルの親会社であるアニプラスは、ソウル・ハプチョンドンとプサン・ソミョンに日本アニメのグッズを販売するカフェをオープンした。
コンテンツ企業の大元メディアも今月4日、韓国大手コンビニGS25でガチャガチャ形式の日本アニメグッズ販売を開始している。
新たな文化トレンドになる
コロナ禍以降、「スーパー円安」が長期化する中で急増した日本旅行ブームも、このJルネサンスを後押ししている要因の一つとされる。
日本を訪れた韓国人観光客は、2022年の302万人から2023年には1,946万人へと急増し、昨年は2,526万人に達して約30%増加した。今年に入って6月までの韓国人観光客数も1,344万人と、昨年の半数をすでに超えている。
専門家たちは、反日感情が比較的薄い若者を中心に、日本文化の消費層が今後さらに広がるとみている。
インハ(仁荷)大学消費者学科のイ・ウニ教授は「日本文化を新鮮なものとして楽しもうとする傾向が、特に若い世代に顕著に見られる」としたうえで、「若い世代を中心に日本文化がより広く消費されることで、韓国の大衆文化に新たな風を吹き込むだろう」と話している。
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