
元アメリカのプライベートジェット客室乗務員が、超富裕層の裏の顔を赤裸々に暴露した回顧録を出版し、波紋を呼んでいる。
告発の主はダニエル・スタイラン。回顧録『マイルハイクラブ:プライベートジェット客室乗務員の告白』で、金と特権にまみれた空の世界の闇を赤裸々に綴った。
2015年、年収数千万円と世界を飛び回る豪華なライフスタイルを約束され、彼女はこの業界に足を踏み入れた。だが初めての面接から現実は想像を超えていた。
面接官であるパイロットは、ジェット所有者の「オルタナティブなライフスタイル」として、所有者の目の前での性的なパーティーへの参加を暗に求めた。
「レズビアンになる必要はない。ただ楽しめばいい」と言い放たれた瞬間、彼女はその提案を拒否したが、そこから始まる7年間のフライトは、さらに強烈だった。
ある顧客は、注文もしていないテキーラがないという理由で怒鳴り、拒食症を患っているという別の顧客は食事の過程を全て監視し、サンドイッチが冷たいと怒鳴りつけてきた。中には「顔を殴るぞ」と脅す者までいた。乱気流で飼い犬が揺れたという理由で、彼女が機内の壁に押しつけられたこともあるという。
ハリケーンの直後、人々がパンを求めて並ぶサン・マルタン島で「2万ドル(約295万円)のシャンパンを探してこい」と命じられたこともあった。
「地獄だった。でも私は島中を歩き回ってシャンパンを探した」と彼女は振り返る。
ある男性客は、妊娠中の妻と搭乗した数日後に愛人を連れてきて、機内で夜の営みを行った。乗務員たちはマニュアル通り前方へ避難し、行為が終われば黙って後片付けをする。
「彼らにとって機内は自宅のようなもの。トイレでもキッチンでもソファでも平然とやる。プライベートジェットは空飛ぶリビングルームだった」
表面上はすべてを持っているように見える客たちは、実際には不安定で、競争に追われていたと彼女は言う。
「何機もの飛行機、理想的なパートナー、莫大な富。だけど実際には『抜け毛』の心配ばかりしていた」
そう語るスタイランは、最終的に業界を去り、エステティシャンとしての穏やかな日常に戻った。「派手さはないけど、今はとても静かで満たされている」と笑った。
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