CDCで銃乱射事件、コロナワクチン陰謀論に傾倒した犯人
米アトランタにある疾病予防管理センター(CDC)本部で発生した銃乱射事件の犯人が、コロナワクチンに関する陰謀論に深く傾倒していたことが明らかになった。この事件で出動した警官1名が命を落とすという痛ましい結末となった。
9日(現地時間)、AP通信やニューヨーク・タイムズ(NYT)など主要海外メディアは前日の夕方遅く、CDC本部の建物外で男が数十発の銃撃をしたと報じた。この男はCDC建物への侵入を試みたが警備員に阻止され、その直後、向かいの薬局で突如銃を乱射した。現場に駆けつけた33歳のデイビッド・ローズ警官が銃弾に当たり死亡した。

犯人はアトランタ近郊出身の30歳、パトリック・ジョセフ・ホワイト容疑者と特定され、現場で死亡しているのが確認された。幸い、一般市民の犠牲者は報告されていない。
アトランタ警察署のダリン・シアバウム署長は記者会見で、犯人が警察に射殺されたのか自殺したのかはまだ不明だと述べた。
犯人はライフル1丁を含む計5丁の銃を所持していたことが判明した。犠牲となったローズ警官は元米海兵隊員で、今年3月に警察に入職したばかりの新人警官だった。
ワクチン陰謀論と精神上の問題が犯行動機か
NYTによると、事件直後のCDC本部建物には数十か所の銃弾痕が残り、現場には薬莢が散乱していたという。
ホワイト容疑者は、日頃から自身の健康問題をコロナワクチンのせいだとする陰謀論に深く傾倒し、精神疾患を訴えていたという。特に事件当日、彼の父親が息子に自殺願望があると当局に通報していた。
これらの状況から、犯人は感染症対策を統括するCDCを意図的に標的にしたと地元メディアは分析している。NYTは、この事件がトランプ政権発足以降、ロバート・F・ケネディ・ジュニア保健長官ら政府高官がワクチンに関する陰謀論や懐疑論を公然と唱える中で起きたと指摘した。
ケネディ長官は事件当日、保健福祉省職員に送ったメールで亡くなった警官を悼み、「公衆衛生に従事する同僚たちが感じた衝撃の大きさはよく分かる。公衆の健康を守る者がこのような暴力に直面するべきではない」と述べた。
一方、CDCから解雇された元職員らの団体「ファイアード・バット・ファイティング」は、ケネディ長官が「ワクチンとCDCに対する敵意と不信を煽った」と強く非難した。
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