20年来の知人を裏切った残虐な犯行
わずか10万ウォンを盗むために、20年間にわたり自分を支えてくれた知人を殺害した60代の男に対し、控訴審でも重刑が言い渡された。
19日、光州(クァンジュ)高等法院第2刑事部の イ・ウィヨン裁判長は、強盗殺人の罪で起訴され、1審で懲役35年を言い渡されたA被告(65)について、検察と弁護側の双方の控訴を棄却した。
検察は無期懲役を求刑したが、控訴審は1審判決をそのまま維持した。

検察側は控訴審で「被告は自分に親切にしてくれた被害者を、わずかな金銭のために殺害した。被害者は苦痛の中で計り知れない裏切りを感じたはずだ」と述べ、より厳しい刑を求めた。これに対し、弁護人は「過ちは重大だが、年齢を考慮すれば、原判決のままでも被告は100歳で社会に出ることになる」と減刑を主張した。
人倫を踏みにじった強盗殺人
A被告は昨年11月3日午後11時14分ごろ、全羅南道麗水市新月洞(チョルラナムド・ヨスし・シヌォルトン)の住宅で、70代の女性Bさんに刃物を振るったとされる。
犯行当時、被告は身元を隠そうと服を重ね着しマスクも着用していたが、目を覚ましたBさんは20年来の知人である被告をすぐに見分けた。
Bさんは、家族や親族のいない被告の事情を知り、寝場所を提供し食事の世話までするなど、長年にわたり支えてきた。しかし被告は、Bさんの引き出しに10万ウォンがあることを知り、これを奪う目的で犯行に及んだ。
Bさんは重傷を負い、隣室で寝ていた娘に発見され病院へ搬送されたが、治療中に死亡した。
被告は犯行後、約200メートル離れた公園の茂みに凶器を隠し、着替えて順天へ逃走したが、結局警察に逮捕された。
控訴審は「強盗殺人は反人倫的な犯罪であり、困窮する被告を助けてきた被害者を標的にした点で、非難可能性が極めて大きい。 遺族が感じた裏切りと精神的苦痛は計り知れない」と指摘した。
一方で「殺意まで計画していたとは認め難い点もある」として、量刑不当を訴えた双方の主張を退けた。
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