
塩分を含む氷を曲げた場合、通常の氷よりも電気エネルギーが1,000倍多く生成されるという事実が確認された。氷河など、塩分と氷が混合した環境において持続可能なエネルギーを生産できるシステムの開発の可能性はもちろん、氷が存在する惑星における電気現象の理解に新たな視点を提供する。
中国西安交通大学のシン・ウェン(XinWen)教授などのチームとスペインバルセロナ自治大学のグスタウ・カタラン(Gustau Catalán)教授による共同研究チームは、塩分を含む氷が変形すると、通常の氷よりも1,000倍の電荷を生成するという事実を発見し、15日にその研究成果を国際学術誌『ネイチャー・マテリアルズ』に発表した。
「フレキソ電気効果(flexoelectricity)」とは、物体が曲がるなどして不均一に変形する際に電気が発生する現象だ。地球の表面の10%を覆う氷でも曲がると電気が発生するが、曲率あたりに生成される電力は非常に少なく、実際の発電源や電子機器への応用には限界がある。
研究チームは、塩(NaCl、塩化ナトリウム)と水を様々な濃度で凍らせ、氷のフレキソ電気効果係数が塩分濃度に応じて増加するという事実を発見した。氷が曲がると、圧縮側から拡大された表面へ塩水が流れ、それにより電荷が生成される原理だ。
全体重量に対して25%の塩分を保有する氷は、純粋な氷に比べてフレキソ電気効果係数が1,000倍、純粋な塩に比べると100万倍の効果を示した。フレキソ電気効果による発電効率の向上には成功したものの、実際に電子機器を駆動する用途への利用が可能かどうかを解明するためには、さらなる研究が必要であると評価されている。
研究チームは「塩分と氷が混合する氷河などの低温環境において、安価で持続可能なエネルギーおよび検知装置の構築に応用できる可能性がある」と述べ、「本研究は、氷のみならず、液体が浸透した多孔質固体における電気機械的現象を理解するための一般モデルを提供している」と明らかにした。
今回の研究成果は、木星の衛星エウロパ、土星の衛星エンケラドゥスなど、巨大な氷層を有する太陽系内の衛星で発生する電気現象への理解にも寄与すると期待されている。
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