
中国で、出張中に上司から性的暴行を受けた後に解雇された女性の事案が、当局により労災として認定された。職場内での性的暴行が労災に認められたのは中国で初めてのケースとなる。
香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」などによると、この事件に関連する裁判が9月23日、中国天津市津南区人民法院で開かれた。
被害女性Aさんは、自動車部品メーカーで営業管理職として勤務していた。年俸は100万元(約2,100万円)を超えていたとされる。
Aさんは2023年9月、上司の王某とともに浙江省杭州市へ出張した際に王から性的暴行を受けた。王は昨年4月に懲役4年の判決を受けたが、同じ月にAさんは「休暇規定違反による無断欠勤」を理由に会社から解雇された。
その後、地元の人力資源社会保障局は、暴行によってAさんが発症した心的外傷後ストレス障害(PTSD)を業務上災害と認定した。
さらに、今年3月には労働紛争仲裁委員会が「解雇は不当」と判断し、会社に対しAさんへ113万元(約2,300万円)の賠償を命じた。しかし、Aさんが受け取ったのはわずか2万元(約40万円)にとどまっており、現在も200万元(約4,200万円)の損害賠償を求める訴訟を継続している。
23日の法廷に出廷したAさんは、事件当時に着ていた服をまとい「かつてこの服を着て屈辱を受けたが、今回は正義のために闘うために着た」と語った。
記者団に対しては、今もPTSDの治療を続けていることを明かし「事件後は悪夢に苦しみ、ほとんど眠れず、薬やコーヒーに頼って生活している。私の人生は完全に壊れてしまった」と述べた。それでも「同じ経験をした女性たちには、自分を責めずに前に進んでほしい」と呼びかけた。
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