
火星で吹く風の最高速度が時速160kmに達するという研究結果が発表された。これは従来の科学界の分析より3倍も速い。火星着陸船の運用が頻繁になる将来において、考慮すべき重要な要素になる見込みである。
スイスのベルン大学、英国のオープン大学、ドイツ航空宇宙センター(DLR)の科学者らで構成された共同研究チームは、最近国際学術誌「サイエンス・アドバンシズ」に火星の風速が予想をはるかに上回るという分析結果を発表した。研究チームが確認した風は「ダストデビル」周辺の大気の流れだ。風は直接カメラで捉えられないため、風に乗って空中を舞うダストデビル(火星の赤い塵が風の渦に巻き上げられる現象)を観察した。
ダストデビルは地球のトルネードに似た形状を持つ。このダストデビルの回転速度を研究チームが測定したところ、時速160kmという事実が判明した。これは約20年間、欧州宇宙機関(ESA)の無人火星探査機のカメラに捉えられたダストデビル373個を分析した結果だ。
従来の科学界の観測によれば、火星の風速は通常時速50km以下だった。今回の発見により、従来のデータより最大3倍以上速い風が火星で吹いていることが確認された。研究チームは「このような高風速の事実は、将来の火星着陸船ミッションを計画する上で重要な情報だ」と説明した。
現在、人類が作る着陸船は火星の大気圏突入直後に大型パラシュートを展開し、地表に近づくとロケットエンジンを点火して降下速度を緩める。今回の研究チームの分析により、火星着陸船が地表に向けて降下中に強風に遭遇しても耐えられる方策を考案するための基礎データが得られた。特に将来、有人着陸船が火星に降りる際には、こうした風速情報は安全性向上のための重要なデータになる。
研究チームは「火星の風況を理解することは、火星着陸と探査を遂行する上で極めて重要だ」とし、「リスク評価や適切な装備の選定に今回の研究が役立つだろう」と述べた。
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