
世界初に人工知能(AI)を政府の省庁大臣に任命したと発表し話題を呼んだアルバニアのエディ・ラマ首相が、最近の国際会議でAI大臣が数十人の子を妊娠したと発言し、物議を醸している。
これに先立ちアルバニアは、「ディエラ」という名のAIキャラクターを公共調達省大臣に任命したと発表した。当時ラマ首相はFacebookで「ディエラは物理的には存在しないが、仮想的に作られた内閣構成員になる」とし、公開入札での不正を防ぎ、政府の透明性向上に貢献すると述べた。
ディエラはアルバニア語で「太陽」を意味する女性名詞で、アルバニアの伝統衣装を着た女性の姿で具現化された。ディエラは大臣に任命される前から政府の業務を支援する役割を果たしていた。
今年初め、アルバニア政府がMicrosoftと協力して開発したデジタル政府サービスプラットフォーム「e-Albania」のAI基盤の仮想アシスタントとして、ユーザーのサイト案内や約100万件のデジタル問い合わせ・文書アクセスを支援した。

ラマ首相は先月の26日(現地時間)、ドイツ・ベルリンで開催された「ベルリン・グローバル・ダイアログ(BGD)」での対談で「ディエラが妊娠したという事実を初めて皆さんにお知らせしなければならない」とし、「ディエラは我が国の国会議員と1人ずつ子を持ち、合計83人の子を持つことになる」と述べた。
ラマ首相が言及した「83人」は、アルバニアの現与党である社会党が占める国会議席数と一致する。ラマ首相は、それぞれの「AI子」が社会党議員に問題への対応方法を助言し提案する仮想秘書の役割を果たすと説明した。さらに「これらの子どもたちは欧州連合(EU)の法律について母親(ディエラ)と同じくらい詳しいだろう」と自信を示した。
また「コーヒーを飲みに行って戻ってきたとき、この子たちはその間に何が話されたのか、あなたの名前が出たかどうかを教えてくれるだろう」と付け加えた。この日、ディエラも対談中に映し出された画面で司会者の質問に答え、今後の政策を説明した。
ラマ首相は「来年の会議ではディエラの子どもたち全員を集め、スクリーン80台以上を用意する」と冗談を飛ばした。AIプログラムであるディエラを大臣に任命した決定について、アルバニアの政界では賛否両論が巻き起こっている。

野党の民主党はAI大臣任命について、非現実的で違憲だと批判した。アルバニア憲法によれば、政府大臣は18歳以上の精神的に健全な市民でなければならないという。
一方、キングス・カレッジ・ロンドンの反腐敗・法の支配を研究する専門家アンドリ ホシャイ氏(Andi Hoxhaj)は「AIはまだ新しいツールだが、適切にプログラムされればオンライン入札で企業が条件と基準を満たしているかをより明確かつ詳細に確認できる」と述べた。彼はアルバニア政府のこうした取り組みが、EU加盟の重要条件の一つである公共分野の腐敗撲滅の達成にも役立つだろうと予測した。
BBCは、新大臣がポップスターのように単にディエラという名前で知られていると指摘し、アルバニア憲法を考慮するとこの措置は公式というより象徴的な性格を持つと説明した。実際の大臣資格を巡る議論はあるものの、人間ではなくAIボットを任命したことは腐敗撲滅の面で利点になるだろうとBBCは伝えた。
バルカン半島西部に位置するアルバニアは、1990年の共産主義政権の崩壊以来、組織犯罪と腐敗撲滅という課題に取り組んでいる。アルバニアの公共入札分野で腐敗を完全になくすことが、ディエラに課せられた役割だ。
ラマ首相はディエラ任命時、BBCに対し「アルバニアだけでなく国際的に優れたチームと協力し、公共調達分野で初の完全なAIモデルを開発している」とし、「公開入札へのあらゆる潜在的な不正の影響を排除するだけでなく、その過程をより迅速かつ効率的に、完全に責任を持って遂行できるようにする」と述べた。













コメント0