米国の22歳男性、交通事故の経緯を説明後に死亡
恋人は殺人容疑で起訴

アメリカで交通事故に遭って昏睡状態に陥った男性が、その後奇跡的に意識を回復し、「恋人が故意に事故を起こした」と証言したものの、最終的に死亡した事件が波紋を広げている。
米誌「ピープル」などによると、22歳のダニエル・ウォーターマンさんは今年2月、フロリダ州フラグラー郡の州間高速道路(I-95)で、妊娠中だった恋人リア・マムビー被告(24)が運転する車に同乗中、車両が道路脇の木に衝突する事故に巻き込まれた。ウォーターマンさんは全身骨折、脊椎損傷、肺穿孔などの重傷を負い、昏睡状態が続いていた。
約3か月後の5月、ウォーターマンさんは意識を回復したが、言語機能が著しく低下しており、ホワイトボードを使って捜査当局に事故当時の状況を伝えた。捜査官が文字を指差し、本人が声で応答して選ぶ形で意思疎通が図られたという。
その証言によると、事故直前、2人は妊娠をめぐって激しく口論しており、ハンドルを握っていたマムビー被告が突然スピードを上げた。車の速度が時速約80キロまで落ちた際、ウォーターマンさんはドアを開けて飛び降りようとしたが失敗したとされる。
さらにマムビー被告はその後、時速約128~145キロまで加速し、「何が起きても構わない。あなたは代償を払う」と発言したうえで、意図的に車を道路外に逸らし、木に正面衝突させたとウォーターマンさんは主張した。

マムビー被告も事故で重傷を負ったが回復し、その後出産している。本人は「激しい痛みの中で目覚めたことしか覚えていない」とし、事故当時の記憶はないと説明している。
捜査当局は、ウォーターマンさんの証言が車両のイベント・データ・レコーダー(事故記録装置)の解析結果と整合していることを明らかにした。
ウォーターマンさんは7月、フロリダ州の病院からニューヨーク州シラキュースのアップステート大学病院へ転院し、治療を続けていた。その後、マムビー被告は過失運転致傷や危険な手段による重傷害などの容疑で起訴された。
しかし、ウォーターマンさんは10月8日、肺炎の合併症によって死亡した。これを受け、マムビー被告には車両殺人の容疑が追加され、現在はフラグラー郡拘置所に収監されている。被告側は一貫して無罪を主張している。
ウォーターマンさんの家族は、「彼は父親になることを心から楽しみにしていた」と語っており、マムビー被告が出産した女児について親子関係の鑑定結果を待ちながら、養育権をめぐる法的手続きを進めているという。













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