
ソマリアの収容施設に送られ、虐待を受けた英国人女性の実態が明らかになった。
報道によると、英国人のアスマ・ハサン・アブドゥラヒさん(18)が、SNSの「TikTok(ティックトック)」に投稿した動画を通じて、母親に欺かれてソマリアのイスラム系収容施設に送られ、現地で虐待を受けたと訴えていることが分かった。
被害者のアスマさんは3年前、母親であるサガル・マクサムド・ロブレの「短い休暇に行く」という言葉を信じ、ソマリアの首都モガディシュに渡航した。到着直後、母親は再婚を告げるとともに、家族がソマリアに永住することを伝えたという。
その後1年が経過し、アスマさんは英国やスウェーデン、米国など欧米諸国から来た同年代の若者と交流を持つようになった。これに対し、母親は娘が過度に西洋化したと判断し、アスマさんをイスラム系の収容施設に送った。
アスマさんの事例は、「ダカン・セリス(Dhaqan celis)」と呼ばれる慣習の一例だ。ソマリア語で「文化への回帰」を意味し、主に英国在住のソマリア系の親が、西洋文化に傾倒した子どもをソマリアの親族宅やイスラム系再教育施設に送る行為を指す。この慣習は、1990年代の内戦以降に定住したソマリア難民の第2世代を教育する過程で形成された。
同様の事例として、親に欺かれてソマリアに送られた後、施設に監禁されるケースは数百件に上るとされる。施設内では殴打や体罰、性暴力、女性割礼、強制結婚などが行われており、一部の子どもは数年間にわたって収容されることもある。
アスマさんは、これまでに計3か所の施設に収容され、そのうち2か所で脱出を試みた。一度は2階のバルコニーから飛び降りたものの、再び拘束された。
公開された写真には、足首に鎖がつながれ、髪を剃られる様子が写っていた。直近に滞在していた施設では、顎にあざが確認され、腕を骨折するなど、深刻な虐待を受けたとみられる状況も確認されている。
最近、現地の警察署に逃げ込み、英国大使館への引き渡しを求めたが、警察は本人を母親と義父に再び引き渡したと伝えられている。
母親は、メディアからのインタビュー要請に応じていない。一方、知人の一人は、当該施設は政府に登録された合法機関であり、拘束はアスマさんと母親が合意の上で決めたもので、アスマさんは無事であるとの認識を示した。
現在、英国に滞在する義理の兄弟姉妹は、アスマさんを本国に連れ帰るため、同国外務省と接触している。兄のモハメド・アブドゥラヒ・アダウェ氏は、「動画を見るたびに涙が止まらない」と述べ、早急な安否確認を求めた。













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