
中国・新疆ウイグル自治区での人権侵害の実態を撮影し、オンラインで公開した中国人男性が、米国での強制送還の危機に直面していることが明らかになった。
15日(現地時間)「AFP通信」などによると、ニューヨークの移民裁判所はこの日、中国人のグアン・ホン氏(38)の難民申請事件の審理に入った。グアン氏は2020年、新疆ウイグル地域を訪れ、ウイグル族をはじめとするイスラム教徒の少数民族が収容されているとされる「再教育収容所」などを撮影した。
翌年、香港経由で中国旅券による無査証入国が可能なエクアドルへ渡航し、さらにバハマを経て船で米フロリダ州に密入国した。米国到着後、約20分に編集した映像をオンラインに公開したという。
その後、ニューヨークで難民申請を行い、就労許可を取得してUberの運転手として生活していたが、今年8月、米移民税関捜査局(ICE)が同居していた中国人カップルを捜索した際、密入国の事実が判明し、身柄を拘束したという。
弁護人は、ICEがグアン氏の難民申請や就労許可を認めず、審理手続きを停止したうえで、米国と受け入れ協定を結んでいるウガンダへの送還を主張したと述べた。
弁護側は、ウガンダに送還されれば、同氏が再び中国へ移送される恐れがあると懸念している。裁判所は来月12日に審理を続行する予定だが、複数の人権団体はICEの対応に強く反発している。
米下院の超党派グループ、トム・ラントス人権委員会は声明で「難民として滞在する機会は保障されるべきだ」と強調した。ウイグル族の権利団体も「中国へ送還されれば、拘束、拷問、強制失踪などの危険にさらされる」と警告している。

国連人種差別撤廃委員会は2018年、新疆ウイグル自治区で少なくとも数万人から最大100万人のウイグル族が「秘密裏に運営される再教育収容所」に拘束されているとして、中国政府に即時解放を求めた経緯がある。
また、中国政府が運営する新疆ウイグル族向け収容施設で中国語教育を担当していたという女性は、米「CNN」のインタビューで、赴任初日に若いウイグル族女性が担架で運び出されるのを目撃したと証言した。
さらに、男性警官が酒席でウイグル族女性への不適切な暴行や拷問を「武勇伝」のように語っていたという話も伝えた。英「BBCニュース」も、脱走した女性や元警備員らの証言として、収容所内での同意のない不適切行為、集団での不適切な暴行、強制避妊、拷問などが行われていたと報じている。
米国は、新疆の収容施設で拷問や強制中絶などの人権侵害が行われていると指摘する一方、中国側は同施設について「イスラム過激派の摘発と職業技能教育を目的としたものだ」と主張し、非難を否定している。













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