
ロシア皇室のために制作された希少な工芸品である「ファベルジェの卵」が、オークションにおいて2,290万ポンド(約45億4,000万円)で落札され、過去最高額の記録を更新したことが明らかになった。
「CNN」の報道によると、12月2日(現地時間)、『ウィンター・エッグ』として知られるファベルジェの卵が、英ロンドンの競売大手「クリスティーズ」のオークションで2,290万ポンドで落札されたと報じている。これは事前の予想落札額であった2,000万ポンドを上回る金額であり、2007年にロスチャイルド家のために制作された別の作品が記録した1,850万ドル(約30億5,000万円)を超える新記録となった。
今回出品された卵は高さ約10センチメートルで、精巧にカットされたクリスタル製となっている。白金(プラチナ)と約4,500個のダイヤモンドで彩られた雪の結晶模様が最大の特徴となっている。内部には、春を象徴する宝石の花かごの装飾が仕込まれている。ファベルジェ工房でも珍しい女性デザイナー、アルマ・ピール氏が自らデザインした作品でもある。
この卵は1913年、ロシア皇帝ニコライ2世が母マリア・フョードロヴナ皇太后への復活祭の贈り物として制作を依頼したものだ。現存する皇室ファベルジェの卵43点のうち、個人所有として残っている7点の一つであり、残りは行方が分からなくなっているか、各地の美術館に収蔵されている。
記録によれば、この卵は1920年代に約450ポンドで取引されたとされている。その後も所有者が変わり、1994年には720万スイスフラン(約8億1,000万円)、2002年には960万ドル(約14億2,000万円)で落札された経緯がある。
「クリスティーズ」のロシア・ファベルジェ部門責任者であるマルゴ・オガネシアン氏は声明で、今回の落札は技術的・芸術的観点からファベルジェ最高の傑作のひとつと評価されるこの作品の希少性と卓越性を、改めて証明する結果となったと言及している。













コメント0