
中国で勤務時間中に長時間トイレを使用していたことを理由に解雇された労働者について、裁判所が会社側の措置を正当と判断し、物議を醸している。
香港の英字紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)」は12月14日、中国江蘇(こうそ)省出身で無期契約の技術者である李氏が、昨年4月から5月の約1カ月間にわたり、計14回、それぞれ1時間以上にわたってトイレに滞在したことを理由に解雇されたと報じた。
会社側の説明によると、李氏は業務中に席を外す時間が過度に長く、かつ頻繁であり、1回あたりの滞在時間が最長で4時間に達するケースもあったとしている。会社側は、こうした行為が通常の業務遂行に重大な支障を及ぼすとして、労働契約を解除した。
これに対し李氏は、痔を患っており長時間のトイレ利用は不可避であったと主張し、不当解雇を理由に訴訟を提起した。契約違反に基づく補償金として32万人民元(約706万2,566円)を請求している。李氏は、オンラインで購入した痔の治療薬の購入履歴や、今年1月に受けた入院手術の記録を証拠として裁判所に提出した。
一方、会社側は社内の監視カメラ(CCTV)システムの映像を証拠として提出し、李氏が繰り返し長時間トイレに滞在していた事実を立証した。また、即時の連絡対応が求められる職務に従事しながらも、不在中に会社から送られたメッセージに一切応答しなかったとも主張している。
江蘇省の地方裁判所は、李氏のトイレ利用時間が個人の一般的な生理的必要の範囲を著しく逸脱していると判断した。裁判所は、提出された医療記録はいずれも長時間トイレを利用した後のものであり、事前に会社へ健康状態を申告したり、病気休暇を申請したりした事実も確認されなかった点を考慮したと説明している。
また、労働契約書には「許可なく一定時間以上職場を離れた場合は無断欠勤とみなし、6カ月以内に累計3日以上欠勤した場合、労働契約を解除できる」との条項が明記されていた。解雇の過程で労働組合の同意も得ていたことから、裁判所は会社の解雇措置は適法であると判断した。
ただし裁判所は、李氏が2010年に入社し長期間勤務していた点や、失業による生活上の困難を考慮し、会社側が慰謝金として3万人民元(約66万2,115円)を支払うことで和解し、係争を終結させるよう仲裁案を提示した。













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