凶悪犯罪が滅多に起きない台湾の都心部で年末年始を控えた19日、男が通行人を刃物で襲い、10人以上の死傷者が出た。
20日(現地時間)、「AP通信」などによると台湾内政部警政署は、地下鉄の台北駅および中山駅周辺で起きた今回の事件で、犯人を含む4人が死亡し、11人が負傷したという。
犯人と特定された張文容疑者(27)は、台北駅の地下出口付近で防毒マスクを着用し、発煙弾を投げ、凶器を振り回して男性1人を殺害した。その後、張容疑者は一駅離れた中山駅まで徒歩で移動し、中山駅と駅周辺の複合商業施設でさらに2人を殺害した。その後逃走中に警察に追われ、建物6階から転落し、死亡が確認された。
当局は捜査の結果、テロの可能性は排除され、周到に計画された犯罪だったと明らかにした。過去に警備・保安関連の業務経験があったものの、最近は特定の職に就いていなかった張容疑者は、家族とも2年以上連絡を取っていなかったという。周囲の人々は、容疑者が幼少期から銃に強い関心を示していたと証言している。
現場からは、サバイバルゲーム用の装備のほか、発煙弾17個、ガソリン入りの瓶15本、凶器などが見つかった。張容疑者は2022年に志願して入隊したが、飲酒問題を理由に除隊処分を受け、その後も義務兵役を満了しておらず、7月に指名手配されていたとされる。
警察は、張容疑者が2014年に台北地下鉄(MRT)の車内で4人を殺害、24人を負傷させた「無差別殺傷事件」に関する情報を検索していたことも確認した。今回の事件は11年前の同事件を模倣した可能性があるとみられている。事件の犯人は当時、死刑判決を受け、2年後に刑が執行された。
張容疑者が約3時間にわたり都心部を徘徊し、殺人や放火などを繰り返したという事実に、台湾社会は大きな衝撃を受けている。特に今年から兵役期間が4か月から1年に延長され、有名俳優のダレン・ワンが兵役逃れで逮捕されるなど、若者の兵役負担が増している中で、兵役未了者による重大犯罪が発生したことへの衝撃は大きい。
さらに、類似の犯行を予告する投稿がSNS上に相次いで確認されており、市民の不安が一層高まっている。













コメント0