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2025年05月17日土曜日
ホームニュース「全面撤廃」から「引き下げ」へ軟化?政府内に広がる焦り…迫りくる7月9日の期限

「全面撤廃」から「引き下げ」へ軟化?政府内に広がる焦り…迫りくる7月9日の期限

「関税全面撤廃」から「引き下げ」へ?

政府、交渉戦略の見直し検討か

引用:ニューシス
引用:ニューシス

米国との関税交渉において、これまで追加関税の全面撤廃を主張してきた日本政府が、関税率の引き下げを交渉カードとして取り入れる方向で検討を進めていると、日本経済新聞が16日に報じた。

日本政府の高官は同紙に対し、「(追加関税の)全面撤廃要求は現実的にハードルが高い」と述べた上で、「交渉初期に高い球を投げるのは良いが、今は妥協点を模索する段階だ」と語った。

日経は「政府内に焦りが広がっている」とし、今後の対応として「撤廃要求を取り下げ、関税引き下げへと要求水準を下げる」可能性が高まっていると伝えている。

現在、米国は日本を含む各国の自動車・部品、鉄鋼・アルミニウムに対して25%の追加関税を課している。

これとは別に、相互関税の名目で共通の基本税率10%が設定されており、日本にはさらに14%の追加税率が上乗せされている。この追加分は現在90日間の猶予期間中で、期限は7月9日とされている。

日本政府は、自動車および鉄鋼・アルミニウム産業への影響が極めて大きいとして、関連する関税の見直しを「譲れない交渉の核心」と位置づけてきた。これまで米国との2回の閣僚級交渉でも、全ての追加関税の撤廃を一貫して求めてきた。

しかし、米国が撤廃に否定的な立場を崩さず、交渉は膠着状態が続いている。

そうした中、今月8日に英国、12日に中国とそれぞれ「関税撤廃」ではなく「引き下げ」で合意に至ったことを受け、日本政府内では「日本も一定の譲歩を示さなければ、交渉テーブルに乗せることすら難しくなる」との危機感が強まっているという。

さらに、交渉の停滞により、米国産品の大規模購入や国内規制の見直しなど、関税以外の分野でも大幅な譲歩を求められるリスクも指摘されている。

赤澤亮正・経済再生担当相は13日の記者会見で、米英間で合意された低率関税枠について「各国の合意内容が必ずしも同一である必要はない」と述べた一方、「今後も一連の関税措置の見直しを求めていく」と強調した。

この件に関連して、石破茂首相に近い政府関係者は日経に対し、「首相は『撤廃』という言葉を、赤澤大臣は『見直し』という言葉を、状況に応じて使い分けている」と説明。石破首相が最大限の成果を目指す姿勢を示す一方で、赤澤担当相は現実的な落としどころを探っているとみられる。

なお、日米両政府は6月中旬にカナダで開かれる主要7カ国(G7)首脳会議を機に、日米首脳会談の実施に向けた調整を進めている。農産物の輸入拡大や対米投資の増加など、既に提示されたパッケージ案に加え、今回の関税率引き下げも議題に上る可能性がある。

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