
『日本経済新聞』によると、日経と韓国の『毎日経済新聞』が共同実施した「日韓経営者アンケート」で、両国企業の約4割が「相手国企業との連携を増やす」と回答し、経済協力拡大への期待が高まっている。
特に半導体や人工知能(AI)などの先端産業分野では、協力を通じた共同成長の可能性が大きいとの分析が出ている。
今回のアンケートは、2025年の日韓国交正常化60周年を記念して、5月23日から6月12日にかけて日韓の主要企業181社の経営者を対象に実施された。
調査によると、今後の日韓企業連携を「大幅に増やす」または「やや増やす」と答えた割合は全体の36.7%。
韓国企業の46%が連携拡大を望んだのに対し、日本企業では20.3%にとどまった。なお、「減らす」と答えた企業はなく、「変化なし」としたのは韓国企業が36.3%、日本企業は54.7%だった。
米国をはじめとする主要国で保護主義の動きが強まっていることが、こうした日韓協力への関心を後押ししている。
アンケートでは、日本企業の80%、韓国企業の69%が「トランプ政権の高関税政策が経営に悪影響を与えている」と回答した。
韓国の大韓商工会議所 国際通商本部のユン・チョルミン本部長は「トランプ政権2期目以降、韓日両国は対米通商交渉という共通課題に直面している」とし、「この危機を乗り越えるためにも、経済連携に対する期待が高まっている」と分析した。
「今後10年以内に協力が有望な分野(2つまで選択)」という設問に対し、日本企業は「半導体」(58.8%)を最多に挙げ、韓国企業でも26.5%が同じく半導体を選択した。
一方で、韓国企業の41.6%は「人工知能(AI)」を最有望分野として選び、日本企業では19.1%がAIを挙げた。
このほか、「ヘルスケア・バイオ」や「コンテンツ・エンタメ」なども、協力の可能性が高い分野として言及された。
慶應義塾大学の柳町功教授は、「バイオ医薬品や半導体のように巨額投資が求められる分野では、日韓両国の企業が強みを活かして世界市場を狙うべきだ」と述べた。
また、日本側の経営者らからは、少子高齢化といった両国が直面する共通課題の解決に向けた協力の必要性も強調された。
アンケートでは、韓国の李在明政権発足後、日韓関係にどのような影響があるかについても質問がなされた。
その結果、日本企業の38.2%、韓国企業の38.1%が「関係が悪化する」と回答している。
サントリーホールディングスの新浪剛史会長は、「日韓連携の強化は不可欠だ。首脳同士のシャトル外交と対話を続け、関係が後退しないことを望んでいる」と語ったという。