
スペイン南部の地中海沿岸で、手足を縛られた状態の遺体が相次いで発見され、当局が捜査に乗り出している。
アメリカの『CBSニュース』がスペイン現地紙『ディアリオ・デ・マヨルカ』などの報道を引用して伝えたところによれば、スペイン警察は5月中旬以降、少なくとも5体の遺体を収容した。いずれも両手両足を縛られた状態だったという。
警察は、遺体が北アフリカから渡ってきた不法移民である可能性が高いと見ており、密航業者とのトラブルの末に海へ投げ込まれた可能性もあると捜査線上に置いている。
バレアレス諸島自治州のマルガ・プロエンス州首相は、「今回の遺体発見は、不法移民ルートの中でも最も残酷な現実を浮かび上がらせている」と地元メディアに語った。
スペインを目指す不法移民の多くはカナリア諸島を経由するが、一部の移民はより短い航路を取って地中海経由でバレアレス諸島に向かうケースもあるという。現地報道によれば、2025年上半期だけでこの地域の海岸や周辺海域で見つかった遺体はすでに31体に上る。
国際移住機関(IOM)の発表では、2023年に全世界で確認された移民の死者数は8,542人にのぼり、そのうち約37%が地中海で発生したという。
一方、こうした悲劇の陰で、命を救うための活動も続いている。
スペインを拠点とするNGO「オープンアームズ」によれば、今月初旬、同団体の救助船が地中海上の放棄された石油掘削施設から50人以上の移民を救助したという。その中には、現場で子どもを出産した女性もいたと報告されている。
また、今年1月にはカナリア諸島に向かっていた移民のゴムボートから新生児が誕生し、スペインの海上保安庁が乳児を無事に救助したという事例も報じられている。
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