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2025年07月01日火曜日
ホームトレンド深さ5000mへ消えた「車3000台搭載」超大型船…リチウム電池と1880トン燃料の行方は?

深さ5000mへ消えた「車3000台搭載」超大型船…リチウム電池と1880トン燃料の行方は?

3千台の車両を積んで「ドカン!」…深さ5,000mの海底へ

25日(現地時間)、英国船社ゾディアック・マリタイムが運航するリベリア船籍の貨物船「モーニング・マイダス」号がアラスカ・アダック島南西約480km沖で沈没した。今月3日に船内で火災が発生して以降、米沿岸警備隊と曳船が消火と曳航を試みたものの、炎と荒天、浸水が重なり、23日に水深5000mの海底へ姿を消した。乗組員22人は全員救助されている。

引用:ゾディアック・マリタイム
引用:ゾディアック・マリタイム

電気自動車70台、燃料1,880トン…海洋汚染の危機

船には計3048台の車両が積まれ、そのうち70台が電気自動車、681台がハイブリッド車だった。加えて船舶用低硫黄燃料油1530トンと軽油350トンも搭載されていた。リチウムイオン電池は発熱や爆発リスクが高く、海底での化学反応による生態系被害への懸念が強まっている。

米沿岸警備隊は「現時点で油膜など汚染兆候は確認していない」としつつ、船社と協力して衛星・航空監視を継続中だ。事故海域にはオイルフェンスや回収装置を備えた専門船2隻が待機し、万一の流出に備えている。

モーニング・マイダス号は中国を出港し、メキシコ・ラサロカルデナス港へ向かう途中だった。船社は「火災に加え悪天候と浸水が重なり、船を守り切れなかった」とコメントし、関係当局と原因調査に入った。深度5000mの海底という回収困難な環境下で、沈没船に残る燃料が将来的に漏出するリスクも指摘されている。

自動車運搬船や巨大貨物船での火災・沈没は近年増加傾向にある。EVやハイブリッド車が持つ高エネルギー密度のバッテリー、船内に積まれた大量燃料が火勢を拡大する要因とされる。専門家は「リチウムイオン電池は水と反応して水素を放出し、発火源になる」と警告し、国際海事機関(IMO)も安全基準見直しを迫られている。

水深5000mは太陽光が届かず水温も0℃近い環境だ。沈没船は短期的な油流出だけでなく、長期的には金属腐食や有害物質溶出を引き起こし得る。環境団体は「モーニング・マイダス号のような大型船が海底で崩壊すれば、化学物質やプラスチック繊維が何十年も海中に拡散する」と指摘している。

米沿岸警備隊は「沈没位置を正確に把握し、海洋観測機器を投入して継続監視する」とし、事故原因と環境影響の両面で調査を続ける方針だ。

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