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2025年07月10日木曜日
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【欧州原発危機】猛暑で冷却水温度超過、地球温暖化で発電量削減・停止が相次ぎ電力供給に不安も

引用:Newsis
引用:Newsis

欧州で記録的な猛暑が続く中、原子力発電所の冷却水が河川の水温を上昇させ、生態系を破壊するのを防ぐため、原発の運転を停止する事例が相次いでいると米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が3日(現地時間)報じた。

Newsisによれば、29日夜、フランス南部ゴルフェッシュ原子力発電所の2基ある原子炉のうち1基が運転を停止したという。同発電所が冷却水として使用する河川の水温が28℃を超えるとの予報が出たためだ。

続いてスイス北部国境近くのベツナウ原発も運転を停止した。1日には原子炉1基が停止し、2日にはもう1基も停止した。

フランスとスイスの両原発は河川水を冷却水に用い、使用後の冷却水は河川より高い温度で放流される。そのため河川水温が過度に上昇すると生態系が破壊される恐れがある。両国はこの場合、発電所が発電量を削減するよう規制している。

ベツナウ発電所の運営会社アクスポ(Axpo)は声明で、河川水温の上限25℃を数日間超過したことを確認したと発表した。

フランス南東部ビュジェ原発など他の河川水冷却型原子炉も発電量を減らした。

米国と欧州の大半の原子炉は1960年代から1980年代にかけて建設され、当時は気候変動が考慮されていなかった。このため地球温暖化に伴う原発停止の事例が年々増加している。

フランス会計検査院の報告によれば、気候関連による原発停止で発生する電力損失は2050年までに3~4倍に増える見通しだ。

フランスでは18か所の原発が国内電力需要の3分の2を担い、スイスでは3分の1を占める。

両国は2022年の猛暑で発電能力が低下した際、放流水温規制を一時的に緩和したことがある。

多くの動植物は熱汚染に敏感だ。温かい水は溶存酸素が少なく、藻類が繁殖しやすい。発電所が突然起動・停止すると水温が急変し、魚が死んでしまう場合もある。

さらに、取り込む冷却水の温度が高すぎると原子炉の冷却が難しくなり、安全上の脅威となる。実際、米コネチカット州ウォーターフォードの原発は2012年に海水温上昇で運転を停止した。

欧州原子力学会高等科学委員会のマルクス・アーメ氏によると、スイスのすべての原発は40℃までの猛暑に耐え得る設計となっているとのことだ。

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