
米国のドナルド・トランプ大統領がインドに対してより高い関税を課すと脅したところ、インドは「EU(欧州連合)と米国がロシアとの貿易を継続している中で、インドだけが標的にされている」と反論した。
5日(現地時間)のCNBCの報道によると、インド外務省は前日遅くに発表した声明で、米国とEUに対し「インドを批判してきた国々がロシアと貿易を行ってきた」と述べ、「インドとは異なり、彼らの貿易は必ずしも不可欠なものではなかった」と批判した。
インドは欧州委員会の資料を引用し、EUとロシア間の貿易規模がインドとロシア間の貿易規模よりも大きいことを強調した。この資料によれば、2024年におけるEUとロシアの商品貿易規模は675億ユーロ(約11兆5,239億円)、サービス貿易規模は172億ユーロ(約2兆9,365億円)に達するという。
インドとロシア間の貿易規模は、今年3月末時点で年間687億ドル(約11兆7,278億円)となり、過去最高を記録した。一方、EUは2024年においてロシアの第3の貿易パートナーとなり、ロシアの総商品貿易の38.4%を占めている。これは、2021年にEUとロシア間の貿易規模が2,575億ユーロ(約43兆9,677億円)に達していたことから、約74%の減少を示している。
インドは、米国が核産業のために六フッ化ウラン、電気自動車用パラジウム、さらに肥料や化学物質をロシアから引き続き輸入していることにも言及した。米政府の資料によれば、2024年における米国とロシアの二国間貿易規模は52億ドル(約7,673億8,768万円)で、2021年の約360億ドル(約5兆3,127億円)から大幅に減少している。なお、米国はロシアに対して相互関税を課していない。
インド政府は「このような背景においてインドを標的にするのは、正当ではなく不合理である」とし、「国益と経済安全保障を守るために必要なすべての措置を講じる」と述べた。
インドの今回の対応は、トランプ大統領が先週発表した25%の関税に加え、前日インドに対して関税の大幅引き上げを示唆したことに起因している。トランプ大統領は引き上げる関税の水準について具体的には言及しなかったが、インドがロシア産石油を引き続き取り扱っていることを非難した。
これは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に対し、ウクライナとの戦争を8月8日までに終結させるよう圧力をかけるため、ロシアと取引する国々に二次関税を課すという脅しの一環である。
国際エネルギー機関(IEA)によると、2024年にロシア産原油の70%がインドに輸出されるという。先月のCNBCとのインタビューで、インドのハルディープ・シン・プリ石油・天然ガス相は「ロシア産石油を輸入するのは、予測可能で安価なエネルギーコストを確保するためだ」と述べ、さらにインドがロシア産石油を購入することで世界のエネルギー価格の安定に寄与し、米国もこれを奨励していると付け加えた。
インドの元財務次官であるスバシュ・チャンドラ・ガルグ氏は、CNBCとのインタビューで「立場が大きく異なるため、インドと米国間で貿易協定が締結される可能性は低い」と語った。彼は「インドは米国の関税課税の脅威を受け入れざるを得ない」とし、「もし米国の需要があれば、輸入業者が関税を負担し、インドの輸出損失は国内消費で補填するか、あるいは他の市場を模索する必要がある」と述べた。
ブルームバーグによれば、トランプ大統領をなだめるために、インド政府が米国産乳製品の一部輸入を認めるための規則緩和案を検討中であると関係者が伝えているという。インドは国内産業保護のため、乳製品に最大60%の関税を維持している。特に宗教的配慮から、輸入乳製品が動物質飼料を与えられた牛から生産されていないかどうかを確認する厳格な規則が施行されている。
経済学者たちは25%の関税がインドの国内総生産(GDP)成長率を0.3%ポイント低下させる可能性があると推計している。HSBCホールディングスのインド担当チーフエコノミスト、プランジュル・バンダリ氏は、追加関税が課されれば資本流入と投資が減少するだろうと述べた。
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