
10年以上前のコーディング教育ブームを背景にコンピューター関連分野を専攻し、最近就職戦線に参入した求職者たちが、AIの台頭による雇用代替の影響で就職難に直面している。
10日(現地時間)、『ニューヨーク・タイムズ』によれば、名門パデュー大学でコンピューターサイエンスを専攻したマナシ・ミシュラ氏(21)は、今年5月に大学を卒業するまで就職先を見つけられなかったという。
彼が「コンピューターサイエンスの学位を取得して卒業したものの、面接の機会を与えてくれた企業は(メキシコ料理店)チポトレだけだった」と語る動画は、TikTokで14万7,000回以上再生された。
シリコンバレーで育ったミシュラ氏は、幼少期から「コーディングを一生懸命学び、コンピューターサイエンスの学位を取れば初任給は10万ドル(約1,500万円)になる」と聞かされてきた。小学生の時には自分のウェブサイトを制作し、10代の頃には高度なコンピューティング講座を受講するなどこの分野で頭角を現していたが、いまは就職先を得られていない。
オレゴン州立大学でコンピューターサイエンスを専攻したジャック・テイラー氏(25)も、2年前の卒業以来、関連分野の5,762社に応募したが、面接の機会はわずか13回にとどまったという。しかも正規職は一つもなかった。生活費を賄うためマクドナルドにも応募したが、「経験不足」を理由に不採用となり、現在は失業手当を受給している。
統計にもコンピューター関連専攻者の就職難が表れている。米ニューヨーク連邦準備銀行の報告書によると、コンピューターサイエンスおよびコンピューター工学を専攻した22〜27歳の大卒者の失業率は、それぞれ6.1%と7.5%で、専攻別で最も高い水準だった。生物学や美術史専攻者の失業率はその半分の約3%にとどまる。
こうした就職難の背景にはAIがある。最新のAIはわずかな時間で数千行のコンピューターコードを瞬時に生成できる。このため企業の間では、新人開発者を採用する必要がないとの認識が広がっている。むしろアマゾン、インテル、メタ、マイクロソフト(MS)などの大手テック企業は大規模な人員削減を実施した。AIデータセンターへの巨額投資で資金繰りが逼迫しているためだ。
わずか15年前の2010年代初頭には、米国でビル・ゲイツ氏やマーク・ザッカーバーグ氏などの億万長者やテック企業幹部、さらにはバラク・オバマ前大統領までがコーディング教育を奨励していた。アプリ開発分野で働く機会に加え、経済的報酬も与えられたことで、コンピューター関連教育は一気にブームとなった経緯がある。
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