「薬価を下げろ」トランプ大統領の圧力で…米国でオゼンピックの価格が半額に

トランプ大統領が米国内での薬価引き下げを推進する中、デンマークの製薬大手ノボノルディスクは一部の患者を対象に、糖尿病・肥満治療薬「オゼンピック」の価格を半額にすることを決定した。
米経済メディア『CNBC』によると、ノボノルディスクは18日(現地時間)、健康保険を持たない米国の患者向けに販売する1か月分のオゼンピックを、従来の約1,000ドル(約14万8,000円)から499ドル(約7万4,000円)に引き下げると発表した。
消費者はオゼンピック公式サイトや、同社が運営する直販オンライン薬局「ノボケア」などを通じて現金で購入できる。特に「ノボケア」では初めて自宅配送サービスも提供する。医薬品の消費者直接販売はホワイトハウスが優先課題として掲げてきたテーマでもある。
週1回の注射薬であるオゼンピックは、糖尿病治療を主目的としながら体重減少効果も持つノボノルディスクの大ヒット製品だ。
近年、米国では供給不足が続き、同じ有効成分を用いたジェネリック薬の流通が急速に広がった結果、安全性への懸念も高まっていた。
『フィナンシャル・タイムズ(FT)』は、今回の割引による恩恵を受けるのはごく一部の患者に限られると報道。ノボノルディスクによれば、オゼンピック利用者の98%は健康保険を通じて購入しており、実際の負担額は25ドル(約3,700円)以下だという。
ノボノルディスクは今年3月、体重減少薬「ウィゴビ」の価格も499ドル(約7万4,000円)に引き下げている。
今回の発表を受け、同社の株価は6%上昇した。
一方、ノボノルディスクと競合する米製薬大手イーライリリーは、トランプ大統領の医薬品関税や薬価統制政策、激しい競争、ジェネリック薬の普及といった逆風の中で、今年に入ってから時価総額が合計約2,520億ドル(約37兆円)減少した。
FTは今回の値下げを「米国の薬価が突出して高いと批判してきたトランプ大統領にとっての勝利だ」と分析している。
トランプ大統領は先月、ノボノルディスクを含む17の製薬会社に書簡を送り、米国内での薬価引き下げを求めていた。
一方で、イーライリリーは最近、英国で体重減少薬「マウンジャロ」の販売価格を170%引き上げている。
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