上司を「バカ」と罵倒して即日解雇…しかし約600万円の賠償命令

イギリスで、上司を「バカ」と呼んだことを理由に即日解雇された女性社員が、不当解雇と認められ裁判で勝訴し、約3万ポンド(約599万4,234円)の賠償金を受け取ることになった。裁判所は「発言は不適切だが、即時解雇に値するほどの重大な過失ではない」と判断した。
5日(現地時間)、英紙デイリー・メールの報道によると、ケリー・ハーバート氏は2018年10月からノーサンプトンの建設会社「メイングループサービス」で年俸4万ポンド(約799万3,637円)で勤務していた。2022年5月、ハーバート氏は上司トーマス・スワネル氏の机で、自身の雇用費用に関する書類を見つけ、解雇されるのではないかと不安を抱いたという。
その後、業務成績をめぐってスワネル氏から指摘を受けた際、ハーバート氏は涙を流しながらこう言い放った。
「他の人ならとっくに辞めていただろう。私が働き続けてきたのは、あなたたち2人のバカのせいだ」
これに対しスワネル氏は「私と妻をバカと呼ぶな。辞めろ、荷物をまとめて出て行け」と激怒し、解雇を言い渡した。
ハーバート氏は不当解雇を訴えケンブリッジで裁判となった。裁判所は、雇用契約上「挑発的または侮辱的な言葉遣い」は解雇理由となり得るが、通常は事前警告が必要であり、「脅迫的・威圧的な発言」といったより重大な違反のみが即時解雇を正当化できると判断した。
会社側は「業務成績不良による解雇」と主張したが、ソニア・ボイズ判事は「全体の状況を考慮しても、この発言だけで解雇を正当化することはできない」と指摘した。会社が適切な懲戒手続きを経ず、発言を理由に即日解雇したことを不当とした。
判決では、ハーバート氏の発言について「不適切で遺憾だが、即時解雇に値するものではない。単発の出来事であり、契約解除に至るほど深刻ではなかった」と述べた。
裁判所は、会社に対しハーバート氏へ賠償金1万5,042ポンド(約300万5,511円)と訴訟費用1万4,087ポンド(約281万4,587円)を含む、総額約3万ポンドの支払いを命じた。
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