
イスラエルが9日(現地時間)、カタールの首都ドーハに居住するパレスチナ武装組織ハマスの指導者らを狙った空爆を実施した。イスラエルの情報筋が匿名を条件に明らかにした。
イスラエル国防軍(IDF)は空爆直後に声明を発表し、「IDFとイスラエル総保安庁(ISA)はハマス指導部を標的に精密攻撃を行った」と説明した。さらに「長年にわたりハマス指導部はテロ組織の作戦を主導し、残虐な10月7日の虐殺に直接責任を負っている。イスラエルとの戦争を組織し、指揮してきた」と非難した。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相府は、今回の攻撃について「独立したイスラエルの作戦だった」と強調。「イスラエルが計画し、実行に移したものであり、攻撃に伴う全ての責任を負う」と述べた。
イスラエルのメディアは、ドナルド・トランプ米大統領もイスラエルによる空爆計画を事前に把握していたと報じた。
トランプ氏は7日、自身のSNSに「イスラエルは私の休戦条件を受け入れた。今こそハマスも私の提案を受け入れるべきだ」と投稿。その上で「ハマスが応じなければ深刻な結果を招く。これが私の最終警告であり、二度とない」と発言した。
イスラエルはここ数ヶ月、ガザ地区、レバノン、シリア、イエメンなどでハマス関連勢力への攻撃を続いている。特に2024年7月には、テヘランでハマスの中核指導者イスマーイール・ハニーヤ政治局長を暗殺し、レバノンやガザ地区内の指導部も排除した。ハニーヤは暗殺されるまでの10年以上をカタールの首都ドーハで過ごしていたとされる。
カタール政府は9日に発生したイスラエルの空爆を強く非難した。カタール外務省は攻撃直後の声明で「イスラエルは卑劣だ。空爆を強く非難する」と表明した。
同省のマジェド・アル・アンサリ報道官はSNSで、「この攻撃はすべての国際法と規範に対する露骨な違反であり、カタール国民と安全保障に深刻な脅威を与える行為だ」と指摘。「カタールは安全保障と主権を脅かすいかなる行為も容認しない」と強調した。
ハマスの亡命指導部は長年にわたりカタールを拠点に活動してきた。今回の空爆は、2023年10月7日にイスラエルとハマスの戦争が始まって以来、カタール領内が直接攻撃を受けた初めての事例となる。
カタールは戦争開始以来、イスラエルとハマス双方の休戦交渉を仲介してきた。イスラエルはこれまでレバノンやシリアなど親イラン勢力への攻撃を行ってきたが、アメリカやエジプトと並び休戦交渉を仲介してきたカタールを標的にしたのは極めて異例である。
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