
フランス全土で10日(現地時間)、政府の緊縮政策に抗議する草の根運動「ブロコン・トゥー(Bloquons Tout、すべてを止めよう)」抗議活動が展開され、各地で道路や学校が封鎖された。
BFM TVによれば、フランス内務省は同日の午後5時45分時点で、全国で550件の集会と262件の封鎖を含む計812件の反政府行動が発生、参加者数は17万5,000人に達したと発表しているという。その過程で違法行為に関与した473人が逮捕され、そのうち339人が拘束された。拘束者のうち3分の1はパリで発生し、抗議対応中の警官13人が負傷した。
ル・モンド、ル・フィガロなどの報道によれば、パリでは北駅前、市内中心部のシャトレ=レ・アル駅、そしてレピュブリック広場などで大規模なデモが行われ、「マクロン弾劾」、「マクロン打倒」と書かれたプラカードが各所で見受けられたという。
デモ隊は北駅内に侵入し駅の封鎖を試みたが、警察が出入口を封鎖した。外部では数時間にわたり両者が対峙した。シャトレ=レ・アル駅にもデモ隊が押し寄せ、午後3時から大型ショッピングモールが閉鎖され、地下鉄駅及びRER(高速鉄道)の利用も制限された。
デモ隊と警察が対峙する中、午後4時頃、シャトレ広場付近の韓国料理店で火災が発生し、消防隊が緊急出動する事態になった。パリ検察庁は初動捜査の結果、警察のデモ規制過程での過失が原因となり火災が発生した可能性を示し、詳細な経緯を現在調査中であると明らかにした。
デモ中、一部参加者はゴミ箱に火をつけ、警官に向かってレンガやゴミ箱を投げつける行為が見受けられた。シャトレ広場のデモに参加したエツキ(仮名)氏はル・モンドに対し、「大企業の富は爆発的に増加し、CAC40(フランス株価指数)の配当金は過去最高だが、なぜなおも他の人々に犠牲を強いるのか」と政府への不満を露わにした。

ある高校生はル・フィガロに「祝日廃止に反対し、イル=ド=フランス地域圏における学生たちの不安定な生活状況に抗議するためにここに来た」と語った。また、ある農業省の職員も抗議に参加するため1日休暇を取得し、「政府の緊縮政策に反対する。もはや民主主義は存在せず、すべてが統制されている」と怒りを露わにした。
この日のデモは、辞任したフランソワ・バイル首相が7月に公的負債削減を目指す緊縮財政案を発表したことに端を発している。当時、バイル首相は国防予算を除く来年度の政府支出を凍結し、生産性の向上を狙い祝日2日廃止案などを提案、これが世論と野党の強い反発を招いた。
この動きを受け、一般市民を中心にSNS上で9月10日に国家を麻痺させるというキャンペーンが始まった。当初は大型スーパーの不買運動や大手銀行のカード使用拒否など、平和的なボイコット方式が予定されていたが、極左勢力と強硬労組が加わり、デモや封鎖の形態へと変質した。
実際、この日の朝からフランス各地で高速道路、ロータリー、高架道路などが封鎖され、交通に大きな混乱が生じた。また、一部の鉄道労組もストライキに加わり、地域路線の列車運行が各地で遅延または一時中断された。
今回のデモには特に高校生の参加率が高かった。フランス国民教育省は、この日の午前中、全国の約100校の高校で授業に支障がでたと発表、そのうち計27校が封鎖された。さらに、高校生労組連合(USL)によれば約150校でデモが行われたという。フランソワ1世高校のある3年生はBFM TVに対し、「国家は教育と保健に投資し、何度も失敗が証明された大学入学の統合支援システムを廃止すべきだ」と述べた。

この日のデモの影響で、ルーヴル美術館の一部展示室が閉鎖された。市内の店舗は、暴力的なデモを懸念し自主的にショーウインドーにバリケードを設置した。
辞任したブリュノ・ルタイヨー内相は、この日のデモが極左勢力によって歪められたと批判し、「黒い服に身を包み、覆面を付けた熟練の小集団が活動中だ」と述べた上で、「この動員は市民運動とは全く無関係だ。極左勢力により歪められ、不服従のフランス党(LFI)の支持を受けている」と指摘した。さらに「このような行為は容認できず、非難する。こうした封鎖はフランス国民の移動と自由を阻害しようとする試みだ」と批判した。
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