H3N2ウイルスで7種類の変異を確認
インフル患者、昨年の3倍に増加
高齢者などハイリスク層はワクチン接種を

今年の夏、オーストラリアやニュージーランドで猛威を振るった「インフルエンザ」が、日本をはじめ韓国、英国など北半球でも流行の兆しを見せている。専門家の間では、過去10年で最悪のシーズンになる恐れがあるとの見方も出ている。流行中のインフルエンザA型ウイルス「H3N2」で多数の変異が確認されているためである。
インフルエンザウイルスは、南半球での感染拡大が北半球の冬季にそのまま影響する典型的な「季節の逆転現象」により、北半球でも急速に広がりつつある。北半球が夏の間に冬を迎えるオーストラリアとニュージーランドでは、8〜9月にかけ平年より1カ月以上早く患者数が急増した。
現在流行しているH3N2は変異を繰り返しており、各国で警戒感が強まっている。英ケンブリッジ大学病原体進化センターのデリック・スミス所長は10日(現地時間)、英『BBC』の取材に「北半球では今年の夏だけでH3N2に7種類の変異が確認され、その後も変異株の報告が急増している」と述べた。その上で「これらの変異がどの程度強力なのか研究中だが、過去の感染やワクチンで得られた免疫を部分的に突破している可能性がある」と指摘した。
H3N2変異株の拡大に伴い、日本や英国など多くの国で例年より早くインフルエンザの流行が始まったと分析されている。世界保健機関(WHO)は毎年2月、北半球での流行が予測される変異株を選定し、ワクチンへの反映を推奨しているが、専門家によれば変異は夏季に多く発生するため、今年製造されたワクチンが変異株に完全には適合しない可能性が高いという。
特にH3N2は、別のインフルエンザウイルスであるH1N1に比べ致死率が高いことが知られており、懸念は一段と強まっている。梨大木洞病院呼吸器内科のチョン教授は、「H1N1は消化器症状が多い一方、H3N2は高熱や筋肉痛が中心で、特に高齢者などのハイリスク層では重症化しやすいため注意が必要だ」と指摘した。H3N2感染の主な症状は、38度以上の高熱や悪寒、筋肉痛、せき、喉の痛み、鼻水、頭痛、嘔吐などだ。
H3N2は抗原変異が非常に速く、頻繁に起こる特徴があるため、ワクチン効果が相対的に低いとされる。それでも専門家らは、予防接種を急ぐべきだと強く呼びかけている。ワクチンは感染そのものを完全に防ぐわけではなく、流行の拡大を止める決定打にはならない場合もあるが、症状の軽減には十分な効果が期待できる。ワクチンによって生成された抗体は、変異株を完全に識別・抑制できなくても、変異前のウイルスと類似した部位を認識して防御反応を示すため、感染した場合でも症状が大幅に軽く済む可能性があるという。
専門家は「ワクチン接種後には、ウイルスを中和する能力である『中和能』が形成されることが確認されており、一定の予防効果が期待できる」と説明している。













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