イラン外相「全ての施設はIAEAの監視下」
「米国は対等で公正な核協議の準備ができていない」
米トランプ政権、2018年にイラン核合意を離脱

イランのアッバース・アラーグチー外務相は16日(現地時間)、国内のいかなる場所でも現在ウラン濃縮活動を行っていないと明らかにした。長年核兵器開発をめぐり欧米と対立してきたイラン側の発言だけに、その意図が注目されている。
『AP通信』や『ロイター通信』によると、アラーグチー外相は首都テヘランで記者団の質問に答え、「現在、濃縮が停止しているのは、われわれの濃縮施設が攻撃を受けたためだ」と述べた。
さらに外相は「イランには申告していない核濃縮活動は存在しない」と強調し、「すべての(核)施設は国際原子力機関(IAEA)の保障措置と監視下にある」と説明した。そのうえで、イスラエルとの戦闘によって施設が破壊されたため、「現在、濃縮活動も実施していない」と付け加えた。
イランとイスラエルは6月に12日間の戦闘を行い、この間、米軍はイランの核関連施設を空爆した。イラン側は当時、施設が深刻な損傷を受け、濃縮ウランが瓦礫の下に残されていると主張していた。
この戦闘の影響で、4月から6月まで間接協議の形で進められていた米国とイランの核協議は中断したままとなっている。
アラーグチー外相は「ウラン濃縮を含む平和的核技術の利用は、われわれに否定できない権利だ」と述べ、「米国をはじめ国際社会がこの事実を認めるべきである。イランは自らの権利を決して放棄しない」と強調した。
イラン原子力庁のモハンマド・エスラミ長官も同様の立場を示し、「わが国の安全保障環境は変わっていない。報道を見れば、毎日のように新たな攻撃の脅威に直面していることが分かる」と述べた。「われわれは何をしても攻撃を受けると言われている」とも語った。
『AP通信』は12日、IAEAが空爆後のイランの濃縮ウランを検証できていないとする機密報告書を入手したと報じた。

2018年にはドナルド・トランプ米大統領がイラン核合意から離脱した。合意では、イランがウラン濃縮や再処理についてIAEAの査察を受ける代わりに、米国とEUが経済制裁を解除することが定められていた。
その後、イランはウランを最大60%まで濃縮。これは核兵器製造に利用可能な初期段階とされる。イランは核開発が平和目的だと主張してきたが、IAEAは核兵器計画を保持していたとの見方を示している。
欧州各国は今年9月、イランに対する国連制裁の再発動を決定し、イランの海外資産は再び凍結され、武器取引や弾道ミサイル開発計画も制裁対象となった。
アラーグチー外相は同日、外務省傘下の政治国際問題研究所が主催した「攻撃される国際法:侵略と自衛」を主題とする会議で、米国を批判しつつも協議の可能性に含みを残した。『ロイター通信』によれば、外相は「米国は対等で公正な核協議を行う準備ができていない」と指摘した。
さらに「イランは常に外交に応じる用意があるが、一方的な指示を受け入れるための協議ではない」と述べ、「米国は戦争で得られなかったものを交渉で手に入れられると思うべきではない」と強調した。
米国は現在、核協議の再開に向けてイランへの圧力を強めている。トランプ大統領は先月13日、イランに対し「友情と協力の手は常に開かれている」と述べ、対話の用意とともにウラン濃縮放棄などの要求も突きつけた。
イラン国内では社会・経済の混乱が続いている。『AP通信』は「イランは義務的ヒジャブ法の扱いをどうするか、政府補助のガソリン価格を引き上げるかどうかすら決められない状況だ」と指摘し、戦争後のシーア派神権政治が困難に直面していると報じた。















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