
妊娠中にベーコンのような高脂肪食品のにおいに多くさらされた胎児は、将来的に肥満リスクが増加することが確認されたと、ドイツの研究チームが公表した。
ドイツのマックス・プランク代謝研究所の研究チームは、高脂肪の食べ物のにおいが子孫の代謝健康を変化させる可能性があるとの研究結果を、1日(現地時間)付の国際学術誌『Nature Metabolism』で公表した。
これまでに、妊娠中に高脂肪食を多く摂取すると、子どもの肥満リスクが高まるという研究は多く報告されている。ドイツの研究チームは、においを多く嗅ぐだけでも子どもの肥満リスクが高まるという結果を導き出した。
研究チームはまず、妊娠したマウスを2グループに分け、栄養学的に同一の飼料を提供した。ただし、Aグループの餌にはベーコンの香りを添加し、他のBグループの餌には香りを付けなかった。
香りだけが異なるにもかかわらず、提供された餌は栄養学的には同一だったため、母体の体重と胎児の体重増加は同じであった。
しかし、その後生まれた子どもたちの体重変化は異なった。
研究チームは、生後6カ月頃から成体になるまで、インスリン抵抗性検査、血糖値測定、体成分検査、体長などを定期的に測定した。
その結果、胎内でベーコンのにおいを多く嗅いだAグループの子は、成体になった後、高脂肪食品を摂取した際に、2型糖尿病の兆候の一つであるインスリン抵抗性が増加し、体脂肪の蓄積が増えた一方で、エネルギー消費は減少することが示された。これは肥満マウスと類似した傾向である。
また、Aグループの子マウスの脳内に変化が生じていることも判明した。動機付けと報酬に重要な役割を果たすドーパミンシステムと、空腹および全身の代謝を調節するAgRPニューロンが、高脂肪食品に対して異なる反応を示した。
研究を主導したソフィ・M・ステクロルム研究員は、「今回の研究は、妊婦の食事が子どもの健康に与える影響についての従来の考え方を大きく変えるものだ」と指摘したうえで、「先行研究は妊婦の健康と高脂肪食の悪影響、例えば過体重のリスクに焦点を当てていたが、今回の研究は、胎児と新生児にさらされるにおいが母体の健康とは別に影響を与える可能性を示唆した」と補足した。
論文の共同筆頭著者であるラウカ・カサヌエバ・レイモン氏は、「Aグループの子マウスは肥満マウスの脳と類似していた。母マウスが脂っこいにおいのする健康的な食べ物を食べていたためだ」と述べている。また、人工香料が食べ物の感覚信号と予想カロリーの不一致を引き起こす可能性があることを提起した。
研究チームは、今回の研究結果が人間にも同様に適用されるかを確認するための追加研究を進める方針である。














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