
自分の群れを持たない雌アリが、働きアリの群れを占領するため、働きアリたちを混乱させ、自分を産んだ女王アリを殺させ、その座を奪うという事実が明らかになった。
NPRやCNNなどの海外メディアによると、九州大学の髙須賀圭三教授チームは17日、寄生アリの女王アリが働きアリの群れを奪う過程を観察した研究結果を国際学術誌『Current Biology』に発表した。
アリの群れにおいて、女王アリは非常に重要な役割を果たす。その群れのすべてのアリを産み、働きアリたちは女王アリを守るために世話をする。そして群れの規模がある程度以上に大きくなると繁殖可能な雌を産み、この雌アリが新しい群れを作り、自分だけの領域を築くことになる。
観察対象は「寄生アリ」であるテラニシクサアリ(Lasius orientalis)とアメイロケアリ(Lasius umbratus)であり、このアリの雌を「ホスト」であるキイロケアリ(Lasius flavus)とトビイロケアリ(Lasius japonicus)の群れにそれぞれ放った。
アリは主に化学的信号を使って互いを区別するため、そのまま群れに投入されると敵として認識され攻撃される。そこで研究チームは寄生アリの雌をホストの働きアリ、蛹と一緒に入れ、匂いを隠せるようにした。

匂いを隠した二匹の寄生雌はそれぞれの標的となったホストの群れに自然に侵入した。侵入者を認識できなかった働きアリたちは普段通りに行動し、一部は寄生雌に口で餌を与えるほどであった。
寄生雌は目標物であるホストアリの群れの女王アリを見つけると、近づいて尾を持ち上げて液体を撒いた。するとすぐにホストの働きアリたちが自分の女王アリに向かって駆け寄った。

髙須賀教授は、アリが撒いた液体が「蟻酸」であろうと推測した。蟻酸は一部のアリが防御手段や危険信号を送るために使用する物質である。
寄生雌は、その後も何度も液体を撒き、最終的に自分が産んだ働きアリたちによって、ホストの女王アリは4日間で死亡した。
手に血の一滴も付けずに働きアリの群れを得た寄生アリは、ホストの働きアリたちの助けを借りて、自分が産んだアリを連れてきて、数百個の卵を産み始めた。時間が経つにつれて寄生アリが産んだアリたちが数千匹まで増え、ホストの群れの働きアリは次第に減少し、最終的に残らなくなる。
研究チームは「子供にとってなくてはならない母を殺させる寄生アリを初めて文書化した事例」と説明した。
研究に参加していないカリフォルニア大学リバーサイド校のジェシカ・パーセル昆虫学教授は「これまでは疑いだけだったが、確認したことのない興味深い事実を非常に注意深く観察した研究」とし、「化学物質を使って働きアリたちの行動を引き出した点は、非常に驚くべきことである」と評価した。













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