ミス・フィンランド、「人種差別」論争
政治家まで「つり目」まねて擁護、批判噴出

フィンランドの美人コンテストで優勝した女性が、アジア人を侮辱する行為だとして批判を浴び、王冠を剥奪された。さらに、政治家らが女性を擁護して同様のしぐさをまねた写真や動画をSNSに投稿し、論争が一段と拡大している。
ミス・フィンランドの主催者は11日(現地時間)、人種差別をめぐる騒動を受け、サラ・ザフチェさん(22)から「ミス・フィンランド」の称号を剥奪した。主催者は、国家を代表する立場として責任を果たせなかったとし、いかなる形の人種差別も容認しないと説明した。
報道によると、ザフチェさんは先月、両手で目尻を引き上げるようなしぐさをした写真をInstagramに投稿し、英語で「eating with a Chinese(中国人と食事中)」という文言を添えた。こうしたしぐさは、欧米圏でアジア人を侮辱する表現として問題視されてきた。

ザフチェさんはその後、現地メディアの取材に対し、夕食中に頭痛と目の圧迫感があり、無意識にしてしまった行動だと釈明した。投稿に付いた文言も友人が勝手に書いたものだとしたが、批判は収まらず、最終的に「今回のことで傷ついたすべての人に謝罪する。ここから学び、成長する」とする謝罪文を公表した。
それでも、フィンランド政界では擁護の動きが相次いだ。与党連立に参加する強硬右派の「フィンズ党(真のフィンランド人党)」の議員らが反発し、目尻を引き上げるしぐさをまねた写真や動画をSNSに投稿して波紋を広げた。

ユホ・エロラ同党議員は、目尻を引き上げた写真にSNSのプロフィールを変更し、「私はサラだ!」と書き込んだ。エロラ議員は現地メディアに対し、写真は冗談で撮ったもので人種差別の意図はないと主張し、自身の行動は「頭痛」を表現したものだと説明した。さらに「ミス・フィンランドから受けた頭痛緩和のヒントを視覚的に表現した」とも述べたという。
エロラ議員は、ザフチェさんへの批判について「人種差別だというのは全く筋違いだ」と反論し、「彼女は移民の家庭にルーツがあり、人種差別が何かを分かっているはずだ」と擁護した。ザフチェさんはコソボ出身の父とフィンランド人の母の間に生まれたとされる。エロラ議員は「もしこれが人種差別なら、何もかもが人種差別になってしまう」とも述べたという。報道では、エロラ議員はその後、目を大きく見開くような写真にプロフィールを差し替えたとされる。

同党の第2副代表ヨアキム・ビゲリウス議員はX(旧ツイッター)で、称号剥奪は不当だとして主催者側を批判し、「融通が利かず、ユーモアのセンスもない。何より無慈悲だ」といった趣旨の投稿をした。ヤニ・マケラ同党院内代表も、同僚議員には批判する権利があるとして支持を表明した。
フィンズ党は反移民・反難民を掲げる右派ポピュリズム政党として知られる。報道では、昨年4月の総選挙で第2党に躍進し、第1党となった中道右派の国民連合党(NCP)が過半数確保のため同党と連立を組んだことで、政権の中枢を担う立場になったとしている。
政府側の対応も俎上に載っている。フィンランドの人権大使が、この問題をどう考えるのかと問う日本人のXアカウントをブロックしたとされ、批判が出た。こうした中、アンダース・アドラークローイツ教育相は、議員らの投稿について「無責任で幼稚だ」と批判した。














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