
米政府が中国製ドローン(無人機)に対する規制を全面的に強化し、世界最大のドローン製造業者である「DJI」をはじめとする中国企業が米国市場から排除される重大な岐路に立たされている。Newsisの報道によると、米トランプ政権が強制労働と国家安全保障の懸念を理由にDJI製品の輸入を制限した後、安全性検証の結果に基づいて新製品の発売自体を阻止する状況に至ったという。
日本経済新聞とYahoo!ファイナンスなどは21日、中華人民共和国海関総署の資料を基に集計した結果、消費者用ドローンの米国への輸出が今年8月以降急激に減少したと伝えた。メディアによると、10月と比較して輸出は前年同月比58%急減し、3か月連続で大幅に減少したという。これは米国市場で圧倒的なシェアを占めていたDJI製品に対する輸入規制が本格化した影響だとメディアは分析している。
DJIは今年7月、米税関当局が「ウイグル強制労働防止法(UFLPA)」に基づいて自社製品の輸入を制限していると公式に確認した。この法律は新疆ウイグル自治区で行われた強制労働に関連する製品のアメリカへの持ち込みを禁止している。DJIはこれに対して「根拠のない虚偽の主張」と反発したが、現在まで規制は解除されていない。
米国でDJIのドローンは航空撮影はもちろん、警察・消防、農業、ハリウッド映画撮影など幅広く活用されている。戦略国際問題研究所(CSIS)は2024年の報告書で、DJIが米国の民間用ドローン市場の約90%を占めていると分析した。新浪科技のデータによると、DJIの売上の約30%は米国市場で発生しているという。新製品の発売が阻止される場合、経営に与える衝撃は相当なものになると予想される。
米政府は中国製ドローンが撮影したデータが中国当局に流出する可能性を継続的に問題視してきた。昨年12月にはDJIとAutel Roboticsを対象に国家安全保障リスクの調査を義務付けた。今月23日までにリスクがないとの判断が下されなければ、該当企業はアメリカ市場で新製品を発売できなくなる。また、米全土で警察と消防当局が運用中の数千台のドローンが運航中止になる可能性が高い。
DJIは「米国で収集されたデータは米国のサーバーに保存され、中国に送信されない」と主張した。ドナルド・トランプ米大統領は6月、米国のドローン供給網が「外国の管理や悪用」にさらされるのを防ぐための行政命令に署名した。米議会はDJIに対する安全審査を要求しており、クリスマス前に安全認証を受けられない場合、ファーウェイ、ZTEと共に米連邦通信委員会(FCC)の安全リスク企業リストに含まれる可能性があるという。その場合、米国での新規販売が禁止され、飛行禁止措置も可能になる。
このような規制を逃れるためにDJIの「クローン企業」と疑われる業者も現れている。米国でドローンを販売するにはFCCの認証が必要で、2025年に認証を受けた企業の中でDJI特有の通信技術を使用するなど関連性が疑われる業者が7社確認されている。これらのほとんどは米企業を自称しているが、核心部品であるアンテナが3社の中国企業製品に集中しており、一部はDJIと同じ部品を使用している。
調査会社グローバルインフォメーションとマーケッツアンドマーケッツによると、軍用を除いた2024年北米ドローン市場規模は約34億ドル(約5,352億7,623万円)で、世界の半分を占めるという。















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