
ホッラムシャフルはイラン南西部フーゼスターン州の国境都市で、1980年から1988年まで続いたイラン・イラク戦争の激戦地だった。イラン革命防衛隊はイラク軍と激しい戦闘を繰り広げ、この都市を守り抜いた。イラン革命防衛隊はこれを記念し、2017年に開発した中距離弾道ミサイル(MRBM)をホッラムシャフルと命名した。
イランは2000年代初頭に北朝鮮から輸入した火星10号(ムスダンミサイル、BM-25)を基にホッラムシャフル1を開発した。その後、イランはホッラムシャフル2やホッラムシャフル3などの改良型を作成した。特に2023年5月にホッラムシャフル4を開発し公開した。ホッラムシャフル4は射程2,000㎞で最大80個の子弾を搭載した1,500㎏の集束弾(cluster bomb)弾頭を載せて飛行可能だ。イランが集束弾頭を搭載した中距離弾道ミサイルを開発・保有したのは、当時が史上初だった。
中距離弾道ミサイルが発射された後、集束弾の母弾が空中で爆発し、数十個の子弾が標的周辺に散布される。集束弾1発はサッカー場3つを壊滅させ、1個中隊の兵力を殲滅するほどの威力を持つ。子弾が複数の目標を同時攻撃するため、「鋼鉄の雨」とも呼ばれる。イランは昨年6月、イスラエルとの「12日戦争」でホッラムシャフル4を使用してイスラエルを攻撃した。ホッラムシャフルミサイルは大気圏外でマッハ16、大気圏内でマッハ8の速度で飛行可能だ。
25基のミサイル基地に実戦配備

アメリカが中東に核推進空母などの主要軍事資産を大規模展開し、対イラン圧力を強める中、イランも中距離弾道ミサイル(MRBM)カードで対抗している。イランは中東全域とヨーロッパの一部まで射程に収める中距離弾道ミサイル2,000~3,000基を保有すると推定され、これを25か所のミサイル基地に分散配備している。
代表的な拠点は北東部のイマーム・ホメイニ宇宙センターだ。イランは軍事目的を隠すためにセムナンミサイル基地の名称を宇宙センターに変更し、衛星発射を名目に弾道ミサイルを試験してきた。イスラエルが「12日戦争」の際に関連施設を集中攻撃したが、地下深くに隠蔽された戦力は相当部分が健在だと伝えられる。イラン国営プレスTVが2月5日に革命防衛隊の地下基地に配備されたホッラムシャフル4を公開したのも、報復の意志を示す行動と解釈できる。イランのアブドルラヒム・ムサビ参謀総長は「弾道ミサイルを全面的に現代化し、抑止力を強化し、軍事教義を防御から攻撃に転換した」と述べた。
ドナルド・トランプ大統領が2月19日にイランに核放棄期限を「10~15日」と提示し、事実上の最終通告を送ると、イランは戦時体制に入った様相だ。中東地域には長期・臨時基地を含め米軍約4万人が駐留している。ニューヨークタイムズは米国の攻撃命令が下される場合、イラン革命防衛隊が米軍基地に対して大規模なミサイル報復に出る可能性を指摘した。専門家はイラク・バーレーン・クウェート駐留の米軍が第一標的になる可能性があると見ている。
米本土射程のミサイルも開発
イランは長期間弾道ミサイルの強化に集中してきたが、特に北朝鮮との協力を通じて技術を蓄積してきたとされる。代表的なものとしてシャハブ3は北朝鮮のノドン(火星-7)ミサイルを基に開発され、これを改良してガドル(射程2,000㎞)とエマード(1,700㎞)を実戦配備した。このほかにもハジ・カセム(1,400㎞)、ヘイバル・シェカン(1,450㎞)、ガドル110(2,000~3,000㎞)、セッジール(2,000㎞)など様々な中距離弾道ミサイルを運用中だ。
一部ではイランが北朝鮮の設計を基に射程3,000㎞級の核ミサイルを秘密裏に開発中である可能性も指摘されている。英紙デイリー・テレグラフは昨年2月、イラン国民抵抗評議会(NCRI)を引用し、革命防衛隊が衛星発射場に偽装した2つの施設で核ミサイルを開発していると報じた。これらの施設は核兵器関連研究を担当してきた防衛革新研究機構(SPND)の管理下にあり、射程3,000㎞の固体燃料ミサイルに搭載する核弾頭の開発が進行中だという主張だ。
2つの施設の1つとして指摘されたのがイマーム・ホメイニ宇宙センターだ。イランはここで北朝鮮の銀河-3に類似したロケット・シムルグを開発してきた。西側の専門家はシムルグが北朝鮮技術の移転の産物であり、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の長距離ロケットと構造的に非常に類似していると評価している。実際、昨年9月18日にここで国際社会に事前通知なしに固体燃料ベースの長距離弾道ミサイル試験が行われたという状況も確認された。当時、イラン議会のモフセン・ザンガネ議員はこのミサイルがICBMだと主張した。もしイランが射程5,500㎞以上のICBMを確保すれば、中東とヨーロッパを越えて米本土まで射程に入る可能性があるとの観測が出ている。

イランがイスラエルと米国の防空網を突破または回避できるミサイルをすでに実戦配備しているとの観測も出ている。ウォール・ストリート・ジャーナルは、イランがミサイル戦力を交渉カードとして活用し、ウラン濃縮放棄要求を拒否していると報じた。報道によれば、イランは「12日戦争」を経て、一部のミサイルをイスラエル・米国の防御網を通過させる戦術を蓄積したとの評価だ。
実際、イラン革命防衛隊は昨年6月16日に極超音速ミサイルでイスラエルを報復攻撃した。「Fattah-1」と呼ばれるこのミサイルは最高マッハ13~15、射程約1,400㎞で知られ、高速機動と精密攻撃、探知回避能力を備えた戦略兵器として2023年6月に初めて公開された。
イランは性能が異なるミサイルとドローンを混合発射する飽和戦術も発展させてきた。イランのアヤトラ・セイエド・アリ・ハメネイ最高指導者は2月17日、米空母艦隊を狙って「軍艦よりも危険なものはそれを沈めることができる武器だ」と警告した。これは中距離弾道ミサイルと極超音速ミサイルの戦力を誇示した発言と解釈される。彼は「世界最強の軍隊でも致命的な打撃を受ける可能性がある」と主張した。
タンカー沈没でホルムズ海峡封鎖の可能性も
イランは戦略的要所であるホルムズ海峡を封鎖したり、近隣海域の米空母艦隊を攻撃するシナリオも挙げられている。革命防衛隊は2月17日、ミサイル発射訓練を理由に海峡を数時間制御し、武力示威を行った。ここは全世界の原油輸送の重要な通路であり、大型タンカーが通航できる区間の幅は約3.6㎞に過ぎない。一部のタンカーが攻撃されれば、航路が麻痺する恐れがあるとの懸念が出ている。
革命防衛隊は海峡近くの島と沿岸に短距離ミサイルを配備し、高速艇に射程300㎞級の対艦ミサイル「カリジ・ファルス」を搭載しているとされる。時速510㎞で飛行するステルス自爆ドローン「ハディド110」も戦力化している。
米国は△ウラン濃縮放棄 △弾道ミサイル射程300㎞制限 △ハマス・ヒズボラ・フーシなど親イラン勢力支援中断などを要求している。これに対しイランはミサイル戦力制限要求を主権侵害と見なし、交渉に消極的な態度を示している。米シンクタンク民主主義防衛財団のベナム・ベン・タレブル上級研究員は「空軍力と防空網が脆弱なイランにとって弾道ミサイルは核心的な抑止手段だ」と評価した。ドナルド・トランプ大統領の圧力の中でもイランが強硬路線を維持するか注目される。













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