
中国によるレアメタル輸出規制を受け、国内の切削工具市場で価格上昇が広がっている。
国内大手の三菱マテリアルは、需給の逼迫を背景にタングステン製品の価格を最大3倍以上に引き上げる方針を示した。
29日付の日経アジアによると、中国による資源の戦略的活用が現実味を帯び、半導体や自動車部品の加工に欠かせない高硬度工具の値上げが相次いでいる。
自力解決に限界 三菱・住友などが値上げ拡大
三菱マテリアルは28日、超硬工具などに使うタングステン部材の価格を従来の3倍以上に引き上げると発表した。
超硬ドリルなどの製品も20%以上値上げし、6月1日の受注分から適用する。供給不安が深刻化していることから、受注を制限する可能性もあるという。
大手の住友電気工業も6月1日の受注分から超硬工具類を最大60%以上値上げすると発表した。両社はいずれも、原材料費の高騰を自助努力のみで吸収するのは難しい段階に達したとしている。
タングステンはダイヤモンドに次ぐ硬度と耐摩耗性を持ち、電子機器部材や半導体、自動車部品の加工に幅広く使われている。今回の価格上昇が国内製造業全般のコスト増加や最終製品価格への転嫁につながる懸念も広がっている。
中国の資源支配 世界生産の8割を握る影響力
今回の動きの背景には、中国政府が2025年2月にタングステンを含む5種類のレアメタルを対象とした輸出規制を導入したことがある。
中国は世界のタングステン生産量の約8割を占めている。事実上、中国の輸出許可がなければ世界の精密加工産業の生産が滞りかねない構造となっている。
米中対立やイラン情勢など国際情勢が不安定化する中、中国が自国資源を戦略的に活用する動きが強まり、供給網の脆弱性が改めて浮き彫りになった。
三菱マテリアルをはじめとする国内各社は、中国への依存度を下げるため、使用済み工具からタングステンを回収するリサイクル網の構築を進めている。














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