トランプ大統領、武器不足受け「国防生産法」を発動…防衛企業に増産要請

ドナルド・トランプ米大統領がイランとの戦争を受けて減少した兵器備蓄を補うため、国防生産法(DPA)を発動し防衛産業各社に生産拡大を求める方針を打ち出した。
米政権はこれまで公には「備蓄危機は存在しない」と説明してきたが、内部では弾薬やミサイルの在庫減少を深刻に受け止めている実態が明らかになった。
CNNによると、トランプ大統領は先週署名した大統領令で「国家防衛またはその準備計画に直接的な脅威となり得る状況が存在する」と表明したという。
トランプ大統領がピート・ヘグセス米国防長官に送付した文書では、生産能力の不足や脆弱な供給網、長期化する調達期間、生産工程のボトルネックなどが米国の軍需生産拡大を妨げていると指摘されていた。
また、弾薬やミサイル、軍事装備の生産・維持・増強は、米国の防衛力を維持する上で不可欠だと強調し、政府介入の必要性を正式に打ち出した。
国防生産法は1950年代に制定された法律で、大統領が国家安全保障上の必要性を認めた場合、民間企業に特定契約の優先履行を求めたり、生産拡大を促したりできる制度だ。政府による重要資材の供給支援や契約権限の拡大も認められている。
今回の措置は米国が近年、複数の戦線を同時に支援してきた状況を反映したものとみられる。米国はイランとの戦争に加え、ウクライナやイスラエルへの軍事支援も継続して行ってきた。
一方、米国防総省はこれまで公には武器在庫不足の懸念を否定してきた。
ヘグセス長官はトランプ大統領が大統領令に署名してから3日後、CBSのインタビューで「米国の兵器備蓄に危機はなく、これはメディアが作り出した話だ」と主張していた。
しかし、内部での評価は異なっていたようだ。
米シンクタンク・戦略国際問題研究所(CSIS)の最新の分析では、米国は精密誘導ミサイルの在庫の少なくとも45%、さらにパトリオット迎撃ミサイルと高高度防衛ミサイル(THAAD)の在庫のおよそ半数を消費したと推計されている。
CNNは米統合参謀本部議長のダン・ケイン氏がイランとの戦争開始前「長期的な軍事作戦は米国の兵器備蓄に大きな負担を与える可能性がある」と警告していたと報じた。
米海兵隊出身でCSIS報告書の共同執筆者でもあるマーク・カンシアン氏は「大量の弾薬消費により、西太平洋地域での抑止力が低下している」と指摘し「現在の備蓄を回復するだけでも1~4年を要し、十分な水準まで増やすにはさらに数年かかるだろう」との見通しを示した。
トランプ大統領は最近の主要7カ国(G7)首脳会議でも戦争に伴うコスト負担について言及した。
フランスで開かれたG7首脳会議では「戦争最後の2日間は極めて過酷だった」と振り返り「2億ドル(約322億7,700万円)相当の爆弾が使用された」と説明した。続けて「それだけでも非常に大きな費用がかかった」と強調した。
また、トランプ大統領はこれまでも防衛産業界に圧力をかける姿勢を示しており、今年1月には自身のSNS[「トゥルース・ソーシャル」で「企業が兵器の供給能力を改善しなければ、自社株買いや経営陣への報酬を制限する可能性がある」と警告していた。













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