
円相場が1ドル当たり162円台まで下落し、1986年以来となる約40年ぶりの円安水準となった。円安が一段と進む中、日本政府は再び為替市場への介入の可能性を警告した。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は30日(現地時間)、日本政府が今年、700億ドル(約11兆4,000億円)を超える外貨準備を使って円買い・ドル売り介入を実施したものの、円安の流れを止められていないと報じた。円安は外国人観光客には日本のショッピング特需となる一方、日本の家計には輸入物価の上昇や海外旅行費用の増加という形で負担をもたらしている。
円安の恩恵は東京の買い物客にも表れている。米ニューヨーク在住のジョン・カーマイケルさんは東京・銀座で12万円のセイコー製腕時計を購入した。ドル換算では約740ドルとなり、米国で購入すれば約1,000ドルを支払ったはずだと話した。
カーマイケルさんは「最近ニューヨークではあまり買い物をしない。日本に来ることが分かっているのでドルを貯めておき、高額商品は日本で買う」と語った。カーマイケルさんは日本人の妻とともに、2019年から定期的に日本を訪れているとのことだ。
WSJによると、30日の円相場は1ドル当たり162円を上回った。円相場は1986年12月以来の円安水準となったという。金融仲介会社タレット・プレボンのデータでは、円は今年に入って対ドルで約3.5%下落し、過去3年間では下落率が11%を超えている。
円安が進む中、外国為替市場では日本当局による追加介入への警戒感が高まっている。日本政府は今年に入り、700億ドルを超える外貨準備を使って円買い・ドル売り介入を実施してきた。

片山さつき財務相は30日の記者会見で「財務省と日本銀行は必要に応じ、為替市場で適切な措置を講じる」と述べた。また、スコット・ベッセント米財務長官との協議でも円安を抑えるため「断固たる措置」が可能との認識で一致したと明らかにした。
円安の背景には、高市早苗首相による財政拡大路線への懸念に加え、日本銀行の利上げペースの鈍さがある。市場では、財政拡大が日本の政府債務をさらに膨らませるほか、日本銀行の緩やかな利上げによって日米の金利差が長期間維持されるとの見方が出ている。
円だけが下落しているわけではない。イラン戦争の影響に加え、新たに就任した米連邦準備制度理事会(FRB)のケビン・ウォーシュ議長が利下げに慎重な姿勢を示したこともドル高を後押しした。オックスフォード・日本担当チーフエコノミストの山口典弘氏は「これは単に円だけの話ではない」と指摘した。
高市首相は従来から円安を歓迎する姿勢を示してきた。円安は輸出企業の価格競争力を高めるほか、日本企業が海外で得た利益を円換算した際の収益を押し上げる効果があるためだ。
一方で、円安は国内の物価上昇も加速させている。日本は約30年続いた低インフレとデフレから脱却しつつあるものの、円安によって輸入品価格や生活費の負担が増している。

東京都内に住むハチラさんは「日用品の価格では円安の影響を実感している」と話した。円安の影響で家族旅行も海外ではなく国内を選ぶようになり「以前のように海外で思い切りお金を使うことはできなくなった」と語った。
一方、外国人観光客にとって円安は追い風となっている。北京で結婚式に出席した後に東京を訪れた米国人観光客のレイチェル・アーウィンさん、オリビア・アーウィンさん、ケオニ・ガビーノさんはオニツカタイガーのスニーカーをはじめとするファッション商品を米国より大幅に安く購入できると話した。レイチェルさんは「為替のおかげで旅行予算に余裕ができた」と述べた。
専門家は日本当局が円相場を急激に押し上げるよりも、さらなる下落を防ぐことに重点を置いているとみている。外交問題評議会のブラッド・セッツァー上級研究員は日本の財務省が輸入品、特にエネルギー価格の急激な上昇を抑えることを重視しているとの見方を示した。
東京・銀座で事業を営むノグチさんは円安の恩恵と負担の双方を感じているという。AIブームを背景に米国株が上昇し、円安効果も重なったことで、円建ての投資収益は拡大した。一方で、外国人観光客の増加に伴い、日本の有名スキーリゾートの宿泊費などが年々高騰しているとし「私は恵まれている方かもしれない。しかし、物価や生活水準を考えると本当に運が良いのかは分からない」と話した。














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