
交渉団搭乗機を標的に暗殺計画か
米国が事前に察知、仲介国通じイランに警告
米国とイランの終戦交渉が進められていた当時、イスラエルがイランの交渉団幹部の暗殺を計画し、米国は交渉決裂を懸念して中東諸国を通じてイラン側に事前警告を伝えていたことが明らかになった。
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は2日(現地時間)、米政府の現職・元当局者の話として、イスラエルがイラン交渉団を率いるイランのモハンマド・バゲル・ガリバフ国会議長とイランのアッバス・アラグチ外相を暗殺対象として検討していたと報じた。
米国は交渉が進行する中でガリバフ議長とアラグチ外相が暗殺されれば、停戦・終戦交渉が直ちに頓挫し、軍事衝突が再燃する可能性があると判断した。このため、パキスタンやカタールなどの仲介国を通じ「イスラエルが両氏を標的にする可能性がある」との警告をイラン側に伝えるよう要請したという。
NYTによると、米国は戦争初期にガリバフ議長とアラグチ外相を軍事目標となり得る人物とみていたが、交渉が本格化した後は交渉団幹部を排除することは米国の外交目標と相反すると判断し、イスラエルに自制を求めたという。
実際、今年4月にはガリバフ議長がパキスタンのイスラマバードで米国側との会談を終えて帰国する途中で緊迫した事態が発生した。
当時、イランの治安当局は「イスラエルが交渉団を乗せた航空機への攻撃を計画しており、イスラエル軍の戦闘機2機がイラク経由でイラン領空に進入した」との情報を入手し、交渉団に警告したという。ガリバフ議長の上級顧問であるマフディ・モハマディ氏も自身のSNSでこれを認めた。
その結果、交渉団を乗せた航空機はテヘランまで飛行を続けることができず、パキスタン国境に近いイラン北東部のマシュハド空港に緊急着陸した。その後、交渉団は約8時間かけて陸路で首都テヘランへ移動したとされる。
交渉期間中、イランは政府高官の警備も大幅に強化した。イランはパキスタンとカタールを通じて米国に対し「イスラエルが交渉団を狙った秘密作戦を実施しない」との安全保証を求めた。これを受け、パキスタン空軍は約70人のイラン代表団を乗せた航空機を国境からイスラマバードまで往復で護衛したと伝えられている。
これに先立ち、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)も今年3月、イスラエルがガリバフ議長とアラグチ外相を暗殺対象リストに加えていたものの、米国が交渉を進める中で一時的に対象から外したと報じていた。当時のドナルド・トランプ米政権が少なくともガリバフ議長が暗殺対象に含まれていた事実を把握し、イスラエル側に攻撃の自制を求めたとWSJは伝えている。
NYTは今回の報道について、戦争初期には緊密だった米国とイスラエルの戦略が停戦・終戦交渉の局面では明確な温度差を見せていたことを示す事例だと評価した。米国は交渉による戦争終結を優先した一方、イスラエルはイラン指導部の排除を目指す方針を維持しようとしていたという。
ただし、今回の報道は米政府の現職・元当局者の証言に基づくもので、イスラエル政府は関連する疑惑について公式なコメントを出していない。在米イスラエル大使館もNYTの取材に回答しなかった。













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